孤独について―生きるのが困難な人々へ (文春文庫) の感想

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参照データ

タイトル孤独について―生きるのが困難な人々へ (文春文庫)
発売日販売日未定
製作者中島 義道
販売元文藝春秋
JANコード9784167753184
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

戦う哲学者「中島教授」が、自らの半生を赤裸々につづり、「孤独である」事が何ら引け目でも負い目でもなく、むしろ積極的に求めて生きるべき価値であると説く自伝的エッセイ。
我々は通常、孤独であること、集団に馴染めず仲間から距離を置いて生きることに、極度の不安と罪悪感を抱く。恐らく日本固有の、「世間」という共同体のあり方が、孤独は許されないという通念を我々の意識の中に生み出しているのではないだろうか?そして、その意識が善意という衣装を纏って、孤独な人間を世間に引き戻そうとする時、著者の様な人間は絶望的な嫌悪感に襲われることになる。挙句、世間との折り合いをつける事に失敗し、挫折感に苛まれることとなる。
本書は著者と同様、世間と折り合いを付けて生きてゆくことに困難を覚える人々に、「孤独に」生きる勇気と、希望を与える救いの書である。
実際、私自身も大変勇気付けられた。
それにしても何と言う、過酷な半生であることか?これほどの重荷を背負いつつよくここまで生きながらえたものだと感心する(実際、著者は自殺未遂をすることになる訳だが)。逆に言えば、これほど過酷な運命に耐えられるほど著者の心は強靭だったとも言える。
著者ほどではないものの、私自身小学校から中学、高校、大学と、果ては会社勤めに至る現在まで、集団での生活に大変な違和感とストレスを感じながら生きてきた。考えてみれば、学校のようなプライバシーの無い組織は、見方によっては軍隊同様とても野蛮な場所であり、幼い子どもにとっては大変な修羅場にも成りうるものだと思う。何しろ子どもたちは、そこでの日常に困難を覚えた時、所属する組織を選ぶことすら出来ないのだから。そんな時に、孤独であることまで否定されたら、それこそ逃げ場を失なってしまうではないか。そして、子どもたちは、そんな困難を克服するために、「仲良し」という名の猿芝居を身に付けることになる。この猿芝居を演じる能力に長けた者を、彼らは「社会性がある」と賞賛する。全く、見事な茶番である(それにつけても東大の助手時代のY教授との一件は、見方を変えれば全くのファルスであり、余りの馬鹿馬鹿しさに(著者には悪いが)相当笑える事件だ)。

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