炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学 (光文社新書) の感想

糖質制限により、8か月で-13.5kgのダイエットに成功しました。ただしダイエットは、この本を読む前に成功、完了していました。

ダイエットが成功した後にもかかわらずこの本を読んだ目的は、
「糖質を制限したことで確かに短期間で体重が減ったが、いったいぜんたい自分の体に何が起きたのか」が知りたかったためです。
この本を読んだことにより、生命誕生にまでさかのぼる仮説からその理由がわかりました。
脂肪をエネルギー源に、たんぱく質から糖がつくられ脳へ供給するすばらしい仕組みも理解でき、糖質制限を続けることに安心しました。

ダイエット理論本として優れた本です。
脳がなぜ糖質を欲しがるかわかりますし、医学界のパラダイムシフトが困難なことで糖質制限法が医療に導入しにくいことを理解すると、糖質制限ダイエットを始める敷居は低くなると思います。

また本書には、ダイエット中に私が実践、経験した同様のことが記載されており(アルコールはやめなくてもいい、特別な運動は必要無い、ひどい空腹感が無くなる、熟睡できる、甘いものや多量の糖質を体が欲しがらなくなるなど）、この部分の真実性は私も支持します。
そして何より共感するのは、二度とデブには戻らない、戻りたくない。という著者の主張です。私もそう思いますのでこの先の人生も糖質を制限した食事を続けていくつもりです。

ひとつ注意点があります。本書にダイエットレシピやプログラムは詳しく載っていません。
それは、糖質制限ダイエットはそれほど簡単である、という著者の経験と理論に基づく主張からと推測します。
よって具体的なレシピやダイエットプログラムを知りたい方はwebや他書の情報を参考にする必要がありますが、私もあまり高度なレシピやプログラム設定は必要無いと思います。
私が実践し成功した方法は単に、米、パン、パスタなどを止めそのかわりに美味しいドレッシングをかけたサラダ、そして肉魚中心のおかずを食べていただけの簡単な方法でしたので。

私は10代の頃からダイエットに取り憑かれ、ありとあらゆるダイエット法を自分の体を実験台にしてやってきた。そして辿り着いた『炭水化物、いらなくね?』。
そして炭水化物を抜いて数年、わかったことがある。体が上手く循環しだす。そして医者や、専門家に相談しても解決の糸口にすらならなかった、異常なくらい減らない体重の黒幕は、ずばりムクミだった。
まず炭水化物をやめれば余分な水分がドバっと出て行く。
女子達よ。スイーツもいい、ラーメンもいいだろう。だがしかしそれは嗜好品だ。たまーに、ご褒美程度にしておくことだ。
痩せない?じゃあ糖分、炭水化物をやめよう。
糖分は脳の栄養?
残念ながらそれは真実じゃない。
栄養とはとればとるだけバカになる。栄養に頼って本来体内で生成されるはずの栄養も生成されなくなる。
すべてはカラクリなんだよ?
そして私はこの本に出会った。自分の考えが間違いじゃないことを再確認できた。
人類がこの真実に気付くまであとどれくらいかかるだろう…。
少なくともこれを読んだあなたが覚醒の一歩手前にいることは確かだ。0

糖質制限をしている者なら、著者のブログは
誰でも一度は見たことがあると思います。

本来は、自分の専門である「湿潤療法」というケガ治療法を
紹介するはずのブログが、いつの間にか糖質制限の話ばかりになったのは
2年ほど前でしょうか。

そこで断片的に書かれていた文章が、1冊にまとまったと
いってもいいような内容の本がこれです。
ただし、大半を占めているのは、「人類の食と進化」の話です。
ものすごい知識量をベースに書かれているため、
読む者を飽きさせないと思います。

が、純粋な糖質制限の話は冒頭のわずかだけなので
そういう意図で読む人にはちょっと後半が重すぎ。
（なんだか学術書みたいなのです）

進化の話は、「炭水化物がいかに不要なものか」との解説なのですが
もう少し短くてもいいように感じました。

人類学者が出した本ではなく、いつもブログで展開していたような
「夏井節」をもっと聞きたいと思って読んだので
その点だけがちょっと残念です。

私は十分に楽しめましたが
読むなら、糖質制限中級者以上限定で。