「反原発」の不都合な真実 (新潮新書) の感想

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タイトル「反原発」の不都合な真実 (新潮新書)
発売日販売日未定
製作者藤沢 数希
販売元新潮社
JANコード9784106104572
カテゴリジャンル別 » 科学・テクノロジー » エネルギー » 核・原発問題

購入者の感想

全体をとおして、日本の電力の燃料についての報道 (と少し政治) の、かたよりの問題提起が、各主張の動機となっていた。
いろいろと調べてそう考えた人もいるのだなと私は感じた。同意できる考えも複数あれば、私とは、ちがう考えも複数あった。
とくに感じたことは、熱力学の文字列も出てきたのにエントロピーの表現は出てこなかったなと。

読者に注意してほしい点として、
例によって、低放射線量で出てきたショウジョウバエの話 53 ページは、電中研の資料 L06014 によると、ハエ自体でなくて、ハエの成熟精子の話。「成熟精子は DNA 修復能力のない特殊な細胞」。
私のしらなかった情報が複数あって参考となった。
ただし、放射線により細胞の破片が、とびちることによる応答、バイスタンダー効果 (関連としてホルミシス効果) の記述は、なかったはず。

よんだあと、個人と法人による太陽光発電等不安定発電の長期的な供給責任が、どうなっているのか、家電リサイクルのように、廃キ物処理が義ム化されたら、かけこみ廃キが起きて、日本の電力供給に支障が出るおそれも、適切に考えられるべきだと考えた。
いずれにしても、本の、冷静に考えようという姿勢には、きわめて同感した。

 化石燃料の大気汚染と原子力発電による死亡者数を比較していて、
確かに化石燃料由来の大気汚染の健康被害は深刻だと思いました。
ただ、著者はこれを原子力発電との比較でしか考慮していません。
本書でグラフで図示されている通り、
化石燃料は発電以外でも使用し、
火力発電由来の大気汚染物質は日本では10縲鰀20%前後なので、
著者が言う大気汚染による甚大な健康被害は、
原子力発電を止めることによってそれほど大きく増えそうにはありません。
あくまで原子力発電の事故による被害より大気汚染による死者が多い
(二者だけを比較した場合)ということです。

電気料金が原子力発電の比率を高めると安くなるという議論も胡散臭いと思う。
著者が書いている通り電気料金の安い国は環境負荷の高い石炭火力の比率の高い国ばかりです。
電力業が完全国営の韓国は別にしても、原子力発電は政府の巨大な財政的負担無しには存在しない発電手段です。
ウラン燃料自体、ウランの濃縮という行為が軍事技術でもあり、
他の化石燃料のように自由に取引出来るようなものではありません。
原子力発電だけに限って言えば電気料金というのはコストの一部分でしかないので、
産業界と電力業界が喜ぶからといって低コストであるわけではありません。
原子力発電を増やすことは、他の発電手段なら電気代に含んでいるべきコストを
国民が税金によって肩代わりすることになります。

著者の意見に反して原子力発電は温暖化対策の切札にはならず、エネルギー源としては有望でないと考えます。
1つ目の理由は核燃料の濃縮とプルトニウムが軍事転用可能なものとして管理しなければならず、
化石燃料由来のエネルギーの代替として広く普及させることと矛盾するからです。
NPT核不拡散とエネルギー源としての普及に解消出来ない矛盾があります。
2つ目の理由としてウランは絶対量が少な過ぎます。
温暖化の切札として利用しようとすると、可採年数は1/5以下になるはずです。

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