せいめいのはなし の感想

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参照データ

タイトルせいめいのはなし
発売日販売日未定
製作者福岡 伸一
販売元新潮社
JANコード9784103322115
カテゴリジャンル別 » 科学・テクノロジー » 生物・バイオテクノロジー » 生物学

購入者の感想

『生物と無生物のあいだ』『動的平衡1,2』『フェルメール光の王国』等著者の著作を読み継いできた。その延長線で福岡氏の対談本である本書を読んでみた。おもしろかった。本書は、8割が対談、2割が対談後の氏の感想をまとめた「『せいめいのはなし』をめぐって」で構成されている。
 4つの対談の相手は、「動的平衡」をキーコンセプトとする既刊の同氏の著作を読んで、共鳴する4人(内田樹、川上弘実、朝吹真理子、養老孟司)である。語り合う知者2人は互いに新たな「気づき」をお互いに与え合い、化合して、対談を通して互いにわくわくしている様子が行間を通して伝わってくる。対談の経過に伴って2人が昇華している。両者とも聞き上手でもある。「対談をライブで聞ける立場にいたらな」と思ったほどだ。
 例えば、内田氏の場合はこんなふうに「動的平衡」を拡張していく。「経済とは貨幣とか商品価値ではなく、ぐるぐる回すこと」と説く。大切なのは「ぐるぐる回すシステムを維持すること」であって、経済行動の「交換の目的は、交換されるものそれ自体にあるのではなくて、「交換することができるような人間的能力を涵養すること」」としている。
 また、以下に各章のサブタイトルをいくつか紹介して、他の3氏との対談のテーマの一端をお伝えする。川上氏「この世界を記述する」「不加逆な枝としての時間」「ガン細胞の永遠の孤独」、朝吹氏「記憶はその都度つくられる」「因果律は存在しない」「崇高さと美の違い」、養老氏「見えるもの、見えないもの」「形態と意識の関係」「何を見ているのか」「なんでもことばにすることが間違っている」「分けることとわかること」
対談をふりかって感想を述べている「『せいめいのはなし』をめぐって」も読み応えがあり、本書の価値を高めている。
 最後に、なぜ本書が「生命の話」というタイトルでないのか?について。 著者が幼い頃に読んだバージニア・バートンの絵本『せいめいのれきし』(原題”Life Story”)をもじっている、らしい。ゆっくり、味読できる対話本である。

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新潮社から発売された福岡 伸一のせいめいのはなし(JAN:9784103322115)の感想と評価
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