アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫) の感想

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参照データ

タイトルアルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫)
発売日販売日未定
製作者ダニエル キイス
販売元早川書房
JANコード9784151101014
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 英米文学

購入者の感想

自閉症で知的障害児(次女5年生)を持つ45歳の父親です。
今年(平成26年4月)になって、初めてこの本に出会いました。
もしもこの本に巡り合えなかったら、私は「障害児である次女の療育」を、私は投げ出して
しまっていたかも知れません。

知的障害児を持つ親としては、当然「知性(IQ)が伸びて欲しい」と思うのは当然で、
「この子が生きている、或いはまだ小さいうちに、早く治療薬や治療方法ができて欲しい!」
と、誰もがお思いになっていると思います。

この本を読んで、「それだけ(知性が伸びればそれで良い)ではないのではないか?」という
考えに至りました。

次女はまだ、知的レベルは3歳程度で、一応ひらがな・カタカナの読み書きは出来ます。
ただし、「お腹が痛い」とか「お花はキレイ」とか、そういう表現は一切出来ません。

知性(IQ)が伸びれば、このような部分は、当然克服できるのでしょうが、一方で「純粋さ」
みたいなものが失われるのは悲しいことです。

次女は、本当に純粋で、ガラス細工のような壊れやすい存在です。
嬉しいことには無邪気に笑い、嫌なことをやろうとすると泣いてしまいます。
ただし「嘘」を付いたり、人を欺いたり、人を見下したりすることなどは、一切ありません。
(そのような感情を持ち合わせていないと思います)

障害児の親としては、知性(IQ)も感情・情緒も伸びて欲しいのは当然ですが、現実問題としては
難しい状況で、現状を受け入れるしかありません。

この本は、そんなことを深く考えさせてくれた、素晴らしい本でした。
即ち、「いくら知性が幼稚であっても、人として、純粋な心を持っている方が素晴らしいこと」
であることを、気づかせてくれたと思います。

主人公(チャーリー)が、精神遅滞センターの「アリス・キニアン先生」に対して、最初のうちは
「キニアンせんせえ」という幼稚な表現から、知的成長を遂げるに従い「アリス、君が好きだ」と

内容はほかの人が書いているので、とくには書かない。
しかし、この小説が日本語に訳されるときに、ひらがなと漢字というビジュアルの違う2種類の文字があったことを好運に思う。
きっとこの訳を書いた人は天才だろう。文字による表現とは、こういうことをいうのか、と思わされる。本書を読んで、それを体感してほしい。

「知らぬが仏」。本当にそうでしょか?

 作者であるダニエル・キイス自身が「思いやりなき知性は無意味だ」と語っているように、心を置き去りにした現代文明への批判がメインであることは勿論なんですが、それだけではないんじゃないかと思います。まして「勉強なんて何の意味があるの?」と考えるのは、実にナンセンス。

 何も知らなければ確かにお気楽である意味「幸せ」だけど、それは本当の「幸せ」ではないし、一人前の人間とは言えないんじゃないでしょうか。知ることによる苦しみを引き受けてこそ人間なんだと思います。 

 単にバカだった頃の方が幸せだったと言いたいわけじゃなくて、白痴に戻ったチャーリーが現実の醜さを知った上で、それでも勉強しよう、成長し続けようとする姿を描きたかったのだと私は思っています。

 チャーリーの向上心、努力する様子に注目すべきです。

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