日本文学100年の名作第1巻1914-1923 夢見る部屋 (新潮文庫) の感想
参照データ
タイトル | 日本文学100年の名作第1巻1914-1923 夢見る部屋 (新潮文庫) |
発売日 | 2014-08-28 |
販売元 | 新潮社 |
JANコード | 9784101274324 |
カテゴリ | » 本 » ジャンル別 |
購入者の感想
新潮文庫100年を記念して出版された全10巻の中短編集の第1巻。1914年から1923年の10年間に書かれた11編の中短編をセレクト。荒畑寒村、森外、谷崎潤一郎、芥川龍之介、内田百、江戸川乱歩など錚々たる作家の作品が収録されている。荒畑寒村のリズムを感じる文体、佐藤春夫のミステリー、そして、とどめに江戸川乱歩の『二銭銅貨』。百年前の古き日本を感じるアンソロジーである。
荒畑寒村『父親』。心地よいリズムを感じる文体は、現代作家では決して綴る事の出来ない文体であろう。東京の大久保から転居した息子を慮り、父親が息子を尋ねる。
森鴎外『寒山拾得』。中国の古い物語に自らの宗教観を論じたような短編。時代を感じる文章なのだが、丹念に言葉を選び抜いたかのような美しさを感じる文章である。
佐藤春夫『指紋』。佐藤春夫のミステリー短編。ロンドンで阿片窟にハマり、帰国した友人の不可解な行動は…
谷崎潤一郎『小さな王国』。転校して来た生徒にいつの間にか学級を支配されていく、恐怖短編。
宮地嘉六『ある職工の手記』。時代のせいなのか、13歳という若さで実家を出て、職工にならんとする清六。清六を慮る父母…懐かしさとともに苦い思いが心を過るような短編。
芥川龍之介『妙な話』。芥川龍之介らしい奇妙な話。誰かの企みなのか、白日夢なのか、不思議な世界に浸る愉悦。
内田百『件』。世界の愚かさを浮き彫りにするかのように僅か三日間しか生きる事の無いという件の予言を期待する人びとをユーモラスに描く。小松左京の短編にも『くだんのはは』というのがあったのを思い出した。
長谷川如是閑『象やの粂さん』。玩具の象を売る粂さんに訪れた転機。
宇野浩二『夢見る部屋』。滑稽なくらい四畳半の小さな空間にこだわる男を主人公にした表題作。
稲垣足穂『黄漠奇聞』。何処かの砂漠の中の王国を舞台にした物語。
江戸川乱歩『二銭銅貨』。暗号をテーマにした日本のミステリーの最高傑作ではないだろうか。変に捏ねくり回さずに簡潔に短編としてまとまっているところに面白さがある。
荒畑寒村『父親』。心地よいリズムを感じる文体は、現代作家では決して綴る事の出来ない文体であろう。東京の大久保から転居した息子を慮り、父親が息子を尋ねる。
森鴎外『寒山拾得』。中国の古い物語に自らの宗教観を論じたような短編。時代を感じる文章なのだが、丹念に言葉を選び抜いたかのような美しさを感じる文章である。
佐藤春夫『指紋』。佐藤春夫のミステリー短編。ロンドンで阿片窟にハマり、帰国した友人の不可解な行動は…
谷崎潤一郎『小さな王国』。転校して来た生徒にいつの間にか学級を支配されていく、恐怖短編。
宮地嘉六『ある職工の手記』。時代のせいなのか、13歳という若さで実家を出て、職工にならんとする清六。清六を慮る父母…懐かしさとともに苦い思いが心を過るような短編。
芥川龍之介『妙な話』。芥川龍之介らしい奇妙な話。誰かの企みなのか、白日夢なのか、不思議な世界に浸る愉悦。
内田百『件』。世界の愚かさを浮き彫りにするかのように僅か三日間しか生きる事の無いという件の予言を期待する人びとをユーモラスに描く。小松左京の短編にも『くだんのはは』というのがあったのを思い出した。
長谷川如是閑『象やの粂さん』。玩具の象を売る粂さんに訪れた転機。
宇野浩二『夢見る部屋』。滑稽なくらい四畳半の小さな空間にこだわる男を主人公にした表題作。
稲垣足穂『黄漠奇聞』。何処かの砂漠の中の王国を舞台にした物語。
江戸川乱歩『二銭銅貨』。暗号をテーマにした日本のミステリーの最高傑作ではないだろうか。変に捏ねくり回さずに簡潔に短編としてまとまっているところに面白さがある。