原発の倫理学 の感想

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参照データ

タイトル原発の倫理学
発売日販売日未定
製作者古賀 茂明
販売元講談社
JANコード9784062187701
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 日本の政治

購入者の感想

霞が関と永田町の論理を熟知した著者が原発問題について時系列的に解説(過去のメルマガ)したもの。後追いながら、当時の政府・官庁・マスコミ・東電・企業の動について見えていなった背景が明快になる。簡単に言えば、日本全体としては様々な動きがあったにも拘わらず、それとは殆ど無関係に原発推進に進んできたということ(その集大成が、昨日(12/5)新聞に掲載された、政府として原発推進へ明確に方針転換ということになるのだろう)。

著者は現状の要因を勘案すれば「脱原発」しかないことを理路整然と説明し、原発推進のロジックを一刀両断する。また、原発推進が民意(少なくとも過半数)を反映していないし、国際的な常識とも乖離していることを訴える(原発推進サイドからは、「電気がなくなったら困るでしょ」程度の感情的なもので、ここまでロジカルな説明はなされていない)。

読んでいてふと感じたのは、この本で脱原発で動いたとして挙がっている人達が、その後、原発とは関係ないところでバッシングを受けて勢力を失っていることだ。橋下知事・嘉田知事・猪瀬知事等は、身から出たさびの部分もあるのだろうが、不思議な符合である。話題の若杉さんの「原発ホワイトアウト」的には、泉田知事も失脚するのだろうか。脱原発ではないが、事故後にバッシングされた斑目委員長ももしかすると原発推進サイドから離れたためディスインフォメーションを受けたのかもしれない。

原発推進・脱原発のいずれの立場に立つかで思うところは異なるだろうが、非常に濃厚な内容であることは間違いない。

本書は、2011年まで経済産業省(経産省)で急進的な改革案を提議してきた著者が、原発に関連して2012年1月から2013年9月までに発信した自身のメルマガをまとめたものです。

「脱原発」という言葉はよく聞きますが、「なぜ脱原発が必要なのか」、「安倍政権がなぜ原発再稼働を強く推し進めようとしているのか」、「脱原発で電気料金や国民の税負担はどうなるのか」あるいは「原発の安全性審査体制は実際にどうなっているのか」などについてよく判らないまま何となく言っている場合が多いと思います。本書を読むと、それらのことが明快に理解できます。また、官僚組織の裏の裏まで知り尽くした著者により、原発再稼働に向けた政官財の絡み合った巧妙なからくりが解き明かされます。

資源エネルギー庁と共に経産省の中にあった原子力安全・保安院が環境省の外局として原子力規制庁となり、さらに2012年9月に原子力規制委員会となったことで、原発の安全性に関して客観的かつ厳密な審査が可能になったと私はナイーブにも考えていました。しかし、原子力規制委員会が、事務局である原発再稼働派の経産省官僚達に操られる存在にすぎないことが本書で暴露されます。また、日本の安全性基準が国際標準から乖離し、欧米並みの厳密な安全性審査が不可能であることが示されます。さらに、安全性確保に必須な国際標準の安全性基準を国として作ろうとしない理由が明かされます。安倍首相が最近よく口にする「世界一厳しい安全基準」という言葉が全くの欺瞞であることが判ります。

福島第一原発の事故から約半年後に発足した民主党の野田内閣が自民党及び公明党と裏協議し、原発再稼働に動いた経緯が示されます。関西電力大飯原発はストレステストの二次評価も終わっていないのに、野田内閣の政治判断で再稼働しました。私は野田内閣について、胡散臭さと自民党と同じではないかという違和感を当時抱いていましたが、それがあたっていたことを本書で知りました。

私は、元・通産官僚の古賀茂明の生き方に好感を抱いている。その古賀の『原発の倫理学』(古賀茂明著、講談社)には、原発推進派の荒唐無稽な言動が克明に記されている。

二人の元・首相――小泉純一郎と細川護熙――が、期せずして脱原発を訴え始めている。古賀は、これを「人の生き方の問題」「倫理の問題」と捉えている。

脱原発を小泉や細川に任せ切りにしてはいけない。

古賀が願っているのは、大きな哲学、「脱原発の倫理観」が国民に明確に提示され、国民的大議論が巻き起こることだ。何と言っても、原発推進か、脱原発かは、我々国民一人ひとりの運命、我々の子孫の運命を左右する最重要問題なのだから。

本書で原発を巡る驚くべき事実を知っても、依然として、原発推進に与する人がいるのだろうか。

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