2052 今後40年のグローバル予測 の感想

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タイトル2052 今後40年のグローバル予測
発売日2013-01-09
製作者ヨルゲン・ランダース
販売元日経BP社
JANコード9784822249410
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

 分厚いですが、”速読”してしまっては全く価値の分からない本です。忙しい人は2週間でも1ヵ月でもかけて丁寧に、注釈まで読むべきでしょう。その理由を以下に書きます。
 
 筆者のランダースは科学者であって、『成長の限界』シリーズの共著者として、人類の産業活動が生態系と社会に与える影響を40年間研究し続けてきた人です。彼は、“環境保護活動家”でもなければ、たまたま未来予測本を書いた“文筆家”でもなく、本書でもよく読めば断定的な書き方はしていないのです。「木を見て森を見ず」のような読み方をすべきではありません。
 部分ではなく、全体の動向を見て法則性を見出す、というのは彼らが『成長の限界』の研究で採用したシステム・ダイナミクスの思考法であり、数値化されたデータという無数の「部分」を、今度は「全体」をより緻密にシミュレートするための改良モデルに組み込んでいく。勿論、膨大なデータを使ったシミュレートはコンピュータなしでは不可能です。彼らの採用したのは、そのような研究方法です。
 この本は一般読者にも分かりやすく書かれており、数値や数式やグラフの少ないスタイルとなっているので、主観的過ぎるという誤解も生じやすいのでしょう。予測の方法論やデータ、数値、グラフは、過去の『成長の限界』シリーズにいやというほど示されています。

 これまで、彼らがいくらデータを揃えようが方法論を明示しようが、大衆も国家もほとんど抜本的な解決に向けて動かなかったという事実は、この問題を何十年も憂慮してきた科学者にとって、民主主義の有効性を疑うに十分な根拠になっているのだと思います。(これは私見ですが、特に日本人は短期志向が強いような気がしています。殆どの有権者は福島原発事故が起きるまでは地震多発地帯である日本列島に50基以上の原発があることに何の不安も感じていなかったのですから)。

未来予測の本はこの2縲怩R年だけでも4冊程度購入しましたが、これがベストと思います。
未来予測では強引に自説に都合の良い解釈をしたり、逆に中立過ぎて参考にならないものが多いのですが、この本の著者は、これまでの経験から恐らく悲観的な将来が避けられないとしながらも、その悪影響を軽減することは可能であると述べている。
多くの分野の専門家の意見を紹介し、悪い傾向だけでなく良い傾向も説明しており、かつ筆者の意見も述べられている。コピペや、言いたい放題では書けない大作です。
未来予測に関心のある方や、地球や人類の近未来に関心のある方は、是非読んでみてください。

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