四月は君の嘘 僕と君との音楽帳 の感想

サンプルを聴いてもらえばわかるが、アニメの演奏シーンが気に入った方なら迷わず「買い」だろう。

四月は君の嘘のモデルアーティストである阪田知樹さん(21)と篠原悠那さん(多分20)の演奏による劇中使用曲のCDである。（ピアノ伴奏や連弾曲などは河地恵理子さん）
まず主人公らが演奏する曲は原作どおり。
原作の段階から絵と曲とが完全にリンクしていて、アニメで曲を変えることは不可能だった様だ。
（視聴者としては変えて欲しい理由などないのだが。）
両者とも原作コミックを読み込んでから演奏しているとのことで、非常にシンクロ度が高い。
原作を読みながら聴いても非常に楽しめるCDである。
（ただ残念なことにアニメ版の音楽集であるため、公生、武士、絵見が演奏するバッハの平均律は一切入っていない。）
CDプレーヤーではなくポータブル機器で聞かれる方も是非MP3やAACなど非可逆圧縮をせずに聴いてみて欲しい。

個人的にこのCDではバラード１番が非常に気に入っている。
ツィメルマンやルービンシュタイン71歳時の演奏等々自分のコレクションを改めて聞き直したが、今は阪田くんの演奏が一番のお気に入りである。
脳内で君嘘の物語とリンクしてしまうからなのか解らないが、油断していると泣いてしまうほど迫ってくる。
兎も角、今後の活躍が楽しみなピアニストである。

録音監督の馬場高知氏はこのアルバムをアニメのコンピレーション版サウンドトラックと捉えて制作したそうで、
クラシックのCD制作ではあまり使用されないコンプレッサーを使用しており、全体的に音が大きくなっている。
これにより、ポータブルオーディオや屋外・ヘッドホンなどでも聴きやすいものになっている。
（手元にあったツィメルマンの演奏と、ショパン　バラード１番で比較してみたので画像を参照されたい。横が時間軸、高さが音の大きさ。）<現在なぜか表示も再登録もできない。>
これはこれで意図は理解できるが、もし今後ハイビット・ハイサンプリングで発売される場合には別マスターから作製願いたい。

「四月は君の嘘」の作中で使われるクラシックを取りあげて70分以上のCDにまとめてあります。原作のコミックスを見ながらその場面の楽曲を聴くも良し、アニメ化されて使われた楽曲との違いなどを聴き比べたり、気に入って聞き直すのもよし。クラシックの世界への導入として楽しんでいただければよいかと思います。
劇判としてのサウンドトラックは、また別個に発売される予定ですので、そちらが気になる方も、まずこのＣＤで四月は君の嘘の作品世界としての音楽を楽しんでみてください。