立法学〔第3版〕: 序論・立法過程論 の感想

アマゾンで購入する

参照データ

タイトル立法学〔第3版〕: 序論・立法過程論
発売日販売日未定
製作者中島 誠
販売元法律文化社
JANコード9784589035479
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 議会・国会

購入者の感想

 著者の中島氏は、現役の厚生労働官僚にして、大学の教壇にも立ち、地方自治体(富山県)に出向けば県職員の政策情報誌『でるくい』(出る杭の意)を創刊し、なおかつそれを県内主要書店で販売するという、なかなかアクティブな方です。
 本書は、初版発行が2004年、新版発行が2007年、そしてこの第3版発行が2014年と確実な読者を得ている。公共政策系大学院等での教科書として企画されてはいるが、それに留まらない『でるくい』である。
 政策が法律案へと仕上がる過程を、実際の国会の審議に登場する以前の「省庁内過程」「政府内過程」「与党内過程」、そしてその過程に作用するマスコミの力等、実際の動きが整理され、なおかつ机上論ではない論考がされている。
 官僚批判の時代に中央省庁に席を得、政権交代により大きな風圧を受けた厚生労働省の渦中にあり、障害者自立支援法の廃止をめぐっては担当課長として市民団体から名指しの批判を受けた中島氏の立法学の名を借りた立法過程論であり、統治論、日本政治論である。
 特に本書でお勧めなのが、時に数ページに及ぶ出典と引用文からなる脚注である。この脚注には、独立の資料集・読み物としても出版の価値があるのではと思わせる力がある。
 副題に「序論」を置き、「立法学」をタイトルにしただ著者の次の一手が楽しみである。

 立法過程論というか、政治過程論であり、また日本政治論ともなっている、定番書の6年ぶりの第3版。
「悪人」探しで国民が束の間の溜飲を下げるだけで既得権擁護、結論先送りばかりのコンセンサスの政治を
打破し、この国に根強いリーダーシップの封印を解いて、変革、決断の政治を目指すべきとの基調は、
初版、新版と変わらない。
 第3版では、一読した限り、新たに、
・新版以降の諸情勢の変化をフォローし、最新文献もカバーするとともに(民主党政権の誕生と崩壊を取り上げ、
政権政党が持つべき権力観、組織観を論じている箇所は、政権運営の本質が浮かび上がって、興味深い)、
・観客型民主主義、被害者型民主主義を生み出している、主体性、当事者意識、普遍的規範意識に乏しい
日本人の精神性に随所でメンションし、
・公共政策系大学院の迷走や政治研究の計量分析への過度な傾斜など、アカデミズムへの問題提起も行っている。
 著者は現役官僚ゆえ、今回些か筆が滑りすぎかもと懸念される箇所も見られるが、あくまで客観性ある記述の枠は
超えておらず、これもご愛嬌かと感じたところである。
 いずれにせよ、これまでと同様、法学部や公共政策系大学院等での教科書、官僚志望者や若手官僚、
マスコミ関係者の座右の書として、定番の位置付けに変わりはないと思われる。
 

あなたの感想と評価

コメント欄

関連商品の価格と中古

立法学〔第3版〕: 序論・立法過程論

アマゾンで購入する
法律文化社から発売された中島 誠の立法学〔第3版〕: 序論・立法過程論(JAN:9784589035479)の感想と評価
2017 - copyright© みんこみゅ - アマゾン商品の感想と評価 all rights reserved.