あやつられ文楽鑑賞 (双葉文庫) の感想

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参照データ

タイトルあやつられ文楽鑑賞 (双葉文庫)
発売日2011-09-15
製作者三浦 しをん
販売元双葉社
JANコード9784575713831
カテゴリジャンル別 » アート・建築・デザイン » 日本の伝統文化 » 歌舞伎・文楽・能

購入者の感想

 よく出来た文楽の入門書+解説本だと思う。評者も10年ほど前から女房ともども文楽鑑賞にのめり込み、20回近く国立文楽劇場などに足を運んでこの伝統芸能を楽しんできた。偶然出合った三浦さんのこの1冊は、単行本刊行後に気付いた点について「文庫版補注」を入れるなど、礼儀正しく、かつ文楽の諸種の厳格な制約の中での幅の広さ、奥行きの深さを教える、読みでのあるものになっている。割と短時間に、楽しく読めた。

 例えば、単行本では文楽の『仮名手本忠臣蔵』には「人間関係を説明するタイミングが唐突」とあったらしい。しかし文庫では、その見解のマチガイについてきちんと「補注」で追加の発見を加えているし、文楽から歌舞伎、あるいは落語へと少し寄り道しているのも楽しい。著者は東京のヒトながら、それでいて上方の桂枝雀の落語に感嘆するなど、案外にこだわりがないというか、柔軟なようにもみえる。とはいえ、やはり東京のヒトならではというか、関西の語感からすれば「幼児語」といった方がいい「見ちゃった」「寝ちゃった」「やっちゃった」を多用するなど、口語体のエッセイとはいえ、やや「東っぽい」気配もある(というか、東のヒトには「西では幼児語」との自覚がないのかもしれない)。

 また、東京の国立劇場はともかく、大阪の国立文楽劇場のロケーションについての説明がほとんどなく、この点、ややもの足りなく思った。しかし全体として、歌舞伎や能楽ではなく、文楽にことさらに引き込まれた体感を鮮やかに表現しているという点で、やはり☆五つは進呈すべきだ、と思った次第。

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