遺伝子はダメなあなたを愛してる の感想

ダメな私でも、遺伝子の理屈でみれば、愛してくれる人がいるんだ！
思わず手にとって読んだら、これがさらっと読めて、造詣が深い。
福岡先生の代表作でベストセラーとなった「生物と無生物のあいだ」は、
先生の博識ぶりに感動したが、
理系の学生でも結構、頑張って読む必要があった。
でも、今回は肩肘張らず、気軽に読めます！

アエラで毎週掲載されているコラム「ドリトル先生の憂鬱」を集めた一冊。
人には聞けない悩みや、一見ばかばかしい質問が、
福岡先生のポケットの中にある様々な知識を引き出してくれる。
カバーや挿絵になっているいやし系のイラストも心地よい。
短いコラムだから、通勤通学の友にちょうどいい。

「片付けられない女はダメ女か」の問いには、
細胞内で絶え間なく続けられている分解と再生を例に挙げて、
「ミクロレベルでは断捨離を続けているからご安心を」と答える。
妊娠検査薬の結果には間違いもあるんじゃないか、という期待を込めた質問には、
受胎しないと出てこないたんぱく質を鋭敏な抗原抗体反応で捕まえるから、
「ほとんど間違いなく正確無比」と一刀両断。
草食系男子は性的に淡泊という意味で使われるけど、
「草食性の動物のセックスはとても貪欲で激しい」なんてことまで言っちゃう。
チャーミングな質問が、きまじめな福岡ワールドに新境地を開いた感もある。

生物の話だけではない。
毎回のように、回答にたどり着く前に、
ワールドワイドの文学や芸術、歴史のうんちくがちりばめられていて、ためになる。
文系・理系を問わず、オススメです。