徒然草を読む (岩波新書 黄版 185) の感想
参照データ
タイトル | 徒然草を読む (岩波新書 黄版 185) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 永積 安明 |
販売元 | 岩波書店 |
JANコード | 9784004201854 |
カテゴリ | » 本 » ジャンル別 » 文学・評論 |
購入者の感想
一度読んだ本を数十年の時を経てもう一度読み直すという行為は不思議な感慨を呼び起こします。通常はもうオリジナルはとうの昔に絶版となっているのが普通ですが、本書は未だに入手可能という稀有な例です。
それだけ中身が凝縮されており、かつ妥当で厳密な議論が展開されていたのでしょう。通説を探り、その後の学問的な展開の軌跡と意味合いを手堅くたどり、著者自身の限定的な推論をギリギリのところで押し進め、でも時代や学問の限界への認識を外すところはない。そんな作品です。著者が当時の時点でたどり着いた「成熟」が伺えます。結果としては30年たった今も鑑賞に堪える「大人」の作品というわけです。
本書では、徒然草という作品の形成が、当時の歴史的な変化の中に見事に位置付けられています。また最後の「徒然草の終焉」では、徒然草という作品と兼好という著者がたどり着いた場所、そしてその到達点の時代の変貌との相克、そしてその必然的な帰結が明らかにされていきます。となるとこの作品に対面する現代の読者に要求されるのは、回顧やノスタルジーやひとりよがりでもなく、現代の視点からの読み直しなのでしょうか。
それだけ中身が凝縮されており、かつ妥当で厳密な議論が展開されていたのでしょう。通説を探り、その後の学問的な展開の軌跡と意味合いを手堅くたどり、著者自身の限定的な推論をギリギリのところで押し進め、でも時代や学問の限界への認識を外すところはない。そんな作品です。著者が当時の時点でたどり着いた「成熟」が伺えます。結果としては30年たった今も鑑賞に堪える「大人」の作品というわけです。
本書では、徒然草という作品の形成が、当時の歴史的な変化の中に見事に位置付けられています。また最後の「徒然草の終焉」では、徒然草という作品と兼好という著者がたどり着いた場所、そしてその到達点の時代の変貌との相克、そしてその必然的な帰結が明らかにされていきます。となるとこの作品に対面する現代の読者に要求されるのは、回顧やノスタルジーやひとりよがりでもなく、現代の視点からの読み直しなのでしょうか。