鎌倉府と室町幕府 (動乱の東国史) の感想

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参照データ

タイトル鎌倉府と室町幕府 (動乱の東国史)
発売日販売日未定
製作者小国 浩寿
販売元吉川弘文館
JANコード9784642064446
カテゴリ歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般

購入者の感想

鎌倉公方のうち、初代基氏の親政から四代持氏後の結城合戦までが叙述対象です。
五代成氏以降のいわゆる古河公方は次巻です。

さて、実際のところこの時期の東国は人気がないのか類書が全くなく、面白い時代なのにもったいないなぁと思っておりました。
直前の南北朝時代、観応の擾乱期についてはそれなりに出版物があるのですが、この時代については本書以外ほぼない。

しかし戦国時代を扱った信長の野望なんかをやっているとおなじみの関東管領などはまさにこの時代に登場するわけです。
鎌倉公方が戦国時代早々に没落してしまっているのに、関東管領が戦国時代になんであんなに影響力があるのかわからない。
上杉謙信なんか有り難がっているのに、江戸時代になると関東管領なんかなかったように影響が薄い。
その背景には鎌倉公方や関東管領の影響力の背後にあるこの時代の東国固有の構造があったというのがよくわかります。
そして鎌倉公方の没落の原因がどこにあるのかも丁寧に叙述されていてわかりやすい。

ディープな戦国マニアなら本書に引き込まれること間違いなし!
それでなくとも室町時代特有の、あの権力闘争の香りが好きなら一読の価値ありでしょう。

東国を管轄する鎌倉府を担った鎌倉公方の五代(足利基氏、足利氏満、足利満兼、
足利持氏、足利成氏)を扱っています。
この間に、室町幕府内の権力の対立軸も「旧尊氏党対旧直義党」から
「細川派対斯波派」へと移行して行きます。
また、鎌倉公方を支えた関東管領の上杉氏も山内上杉氏と扇谷上杉氏が対立し、
さらに、「関東八屋形」と呼ばれる、千葉氏・小山氏・小田氏・佐竹氏・那須氏
・結城氏・宇都宮氏・長沼氏の在地勢力も健在で、応仁の乱を待つまでもなく
対立につぐ対立の戦国時代です。
「一揆」というのは百姓がやるものだと思っていましたが、
「揆を一にする」という意味で国人層の強力な連帯集団のことでした。
東国では、平氏系の「平一揆」、源氏系の「白幡一揆」、藤原氏系の「藤氏一揆」が有名です。
茶道でいうところの「一味同心」も一揆の精神を表現するものでした。
東国の動乱は、まだまだ続きます。

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