ニッポン異国紀行 在日外国人のカネ・性愛・死 NHK出版新書 の感想

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タイトルニッポン異国紀行 在日外国人のカネ・性愛・死 NHK出版新書
発売日2013-11-22
製作者石井 光太
販売元NHK出版
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アジアを中心に、スラム、売春、乞食など、社会の最下層のルポルタージュ作品で知られる著者が、日本の裏社会で働く「ガイジン」コミュニティを取材した。死や性など、あまり覗かれたくない、あるいは宗教や医療など閉ざされた世界の分野の話が多く、日本人が知らない日本の裏面がよく描けている。日本社会のメーンストリームでグローバル化か否かでせめぎ合っている間に、下層社会ははるかに早くグローバル化の波に飲み込まれようとしつつあることが本書でわかる。

布教のため、新宿でホームレスへの食事提供をする韓国の新興宗教、格安風俗で日本人はもちろん、タイ人も駆逐しつつある韓国人風俗、四半世紀日本人相手に水商売をして祖国の親族に捨てられ末に日本永住を決めたタイ人、日本で客死したムスリムを焼かないで祖国へ送り返すためのエンバーミングの方法、ホステスが毎日通う売れっ子タイ人占い師が売りつける胎児で作った媚薬などなど、面白いエピソードには事欠かない。路上で黒い敷布の上にいろいろ小物を置いてるイスラエル人、あれはなんなんだと、前から思っていたら、本書にその独特のコミュニティの様子が書いてあった。彼ら「バスタ」と呼ばれる露天商は外国から仕入れたバッタもんを仕入れ値の5〜10倍で売る。兵役をやった後、完全歩合で一日2〜4000円。外見が白人に似ていて優しいから日本人にももてる。「戦乱の祖国には帰りたくない、日本で安心して暮らしたい」という彼らの言葉が、過酷なイスラエル社会の側面をよく表している。

どことなく斜に構えた感じの著者独特のプリズムを通しているので、良くも悪くも文章にクセがあるが、表のメディアからだと取材のハードルが非常に高い、しかも外国人の風俗や宗教団体、偽装結婚などの違法ビジネス……いずれもよく取材している。外国スラムで鍛えた著者ならやすやす、かも知れないが手間暇をかけた一冊だ。

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