いねむり先生 の感想

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参照データ

タイトルいねむり先生
発売日販売日未定
製作者伊集院 静
販売元集英社
JANコード9784087714012
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » あ行の著者

購入者の感想

私がナルコレプシーに罹り、どういう病気かとネットで調べていたときに見つけた本。
ここででてくる色川先生の性格、みんなに愛されるだとか、一方で八方美人だとか言われているのは、まさにこの病気がもたらす二次的な被害だ。この病気にかかると、どこでも寝てしまう自分に自信を失い、人に意見したり、批判するということができなくなるのである。そして夜などは絶えず悪夢や幻聴に苦しむことになる。この病気の原因は、脳への衝撃、もしくは極度のストレスと言われている。身の回りにこういう人がいたら、そっと見守って下さい。

 著者自身がモデルの主人公サブローは、愛する妻を亡くして失意のどん底に落ち、のちに「人間として失格者だった」と告白するほど絶望的な日々を送っていた。一時は重度のアルコール依存症で入院するほどで、退院して静養中の頃、知人のKさんから「是非、逢わせたい人」を紹介されることから物語は始まっていく。
 その「出会い」がなんと素晴らしいことか。その後サブローと「先生」の交友関係を読むとうらやましくも思うほど素敵である。精神的な病魔と闘うサブローは、「先生」といることでなぜか奇妙な安堵感に包まれる。
 ・・・「サブロー君、人は病気や事故で亡くなるんじゃないそうです。人は寿命でなくなるそうです」(P198) 
 「先生」のモデルになっている阿佐田哲也の印象といえば、いつも沈鬱な表情で凄味のある「ギャンブルの神様」でこれほど優しく魅力あふれる人物とは知らず意外であった。 
 また、小説に登場する漫画家Kさん、歌手のIさんの会話がとてもよい。(この二人が誰か推理することも面白い)
 ハッとさせられるアフォリズムが随所にちりばめられ内容の深い一冊である。長編小説にもかかわらず気が付いたら一日で読み終えていた。これから伊集院静、阿佐田哲也、色川武大の小説を読んでみたくなった。
 

女優だった妻を亡くし、絶望の淵に立たされた主人公が
作家であり、エッセイストである色川武大氏と出会うことで
再生をしていくという自伝的小説です。
奇しくも、仙台で震災に遭われた伊集院さんが、
このタイミングで「絶望からの再生」「人は人によって救われるのだ」
という優しくも力強いテーマの小説を出版されることに、
なにか不思議な力を感じざるをえません。
今の日本人に必要な一冊だと思います。

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