あれよ星屑 2巻 (ビームコミックス) の感想

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参照データ

タイトルあれよ星屑 2巻 (ビームコミックス)
発売日2014-10-25
製作者山田 参助
販売元KADOKAWA / エンターブレイン
JANコード登録されていません
カテゴリ » ジャンル別 » コミック・ラノベ・BL » コミック

購入者の感想

1巻の終わりから続く回想編。

川島と黒田の出会い。

同じ部隊の仲間たち。

前巻と比べて、男性キャラが出てくるページが格段に多いため絵柄的にむさ苦しい構図が続きます。

しかし登場人物達がこれまた個性的で、特に川島班の面々は喧嘩っ早い人物であったり、一癖も二癖もあるタイプばかりなのに何故か嫌いにはなれない…

2巻で印象的だったのは、日本軍における負の一面を嫌になるほど見せつけられる点でした。

戦時中という時代背景、そしてその中の兵隊たちという非常に特殊な環境。

時に残酷とも言える所業を強いられ、それでも「国」を信じ、死ぬならば「国」の為に命を落とすのだと踏ん張る彼らの姿を見て、なんとも言えぬ気持ちになりました。

戦後数十年経って生まれた自分は「日本は戦争に負けた」という、物事のほんのかけらしか知らずにいたのだなと思い知らされたように感じます。

幼い頃から戦争についての教育というのはされていて、戦争というものはどちらかが一方的に加害者であったり、被害者であることはないのだということは分かっていたつもりでした。

しかし、その戦場にいた人たちが置かれた立場であるとか、環境であるとか…本当に日常からかけ離れた異常なシチュエーションは人の道徳心であったりを狂わせるには十分過ぎるものだったのだなと、ふとそんなことを考えたりしました。

決して綺麗事だけではないです。

戦争を題材にしたならば当たり前に思う人もいるかも知れませんが、人が人の命を奪う場面が出てきたり、兵隊たちの性事情にスポットを当てた描写があったりするので、苦手な人は読んでいて嫌になるかも知れません。

でも、それでも、多くの人に読んでもらいたいと感じる作品でした。

物語、そしてその構造の構築の仕方が非常にしたたか。読者は作者の存在を忘れ、印象の余韻を残しながら戦中から戦後へと彼等の生きた記憶を飛びます。世界大戦での戦闘を書いた作品はいくつか読んでいると思っているのですが、戦闘にない前線の生活を生々しく書いている作品はそう多くないような気がします。それも、この作品ではそれらに過剰も不足もない。上官の存在に隊毎の軋轢、ヒエラルキー、娼婦との関係、捕虜の存在等、書くべきトピックはいくつかあるように思いますが、作者の山田参助さんが取り上げるのはより根深く救いのない物ばかりです。勿論、それが戦争の一性質だということもあると思うのですが、本当に救いがない。自身の命をありとあらゆる方法で疲弊、摩耗させているように読める。それが凄い。凄い、おそろしい。
将官を相手にするピー屋の女、浮子の存在。彼女の歌。中国人相手の刺突訓練。岡部中尉(どこか三島を思わせる)。滝川二等兵。
まるで、その空気をくぐり抜けたような読後感を与えてくれるのは、作者の力量そのものですが、これは脅威です。麻薬的な作品。後世に残る名作の予感があります。

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