誰も調べなかった日本文化史: 土下座・先生・牛・全裸 (ちくま文庫) の感想

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参照データ

タイトル誰も調べなかった日本文化史: 土下座・先生・牛・全裸 (ちくま文庫)
発売日販売日未定
製作者パオロ マッツァリーノ
販売元筑摩書房
JANコード9784480432001
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 文化人類学・民俗学 » 日本の民俗

購入者の感想

 主に明治以降、時に江戸時代以前にも遡り、土下座、「先生」という呼称、東京の牛などの歴史をたどる。 
 著者は「きちんと調べてみると、庶民文化に関しては、かなりまちがったイメージが定着していることがわかります(p.319)」と述べるが、確かに、本書で示される事実は、常識や通念をつぎつぎと覆していき爽快である。
 ひとつだけ例を。近年、子どものキラキラネーム(例えば「月」と書いて「ルナ」と読ませる)が話題になることがあるが、著者は、頼朝=ヨリトモという読みや『徒然草』での吉田兼好の叙述をもとに、同様の奇妙な名付けは鎌倉時代から(!)あったことを示している。
 著者の皮肉な文章が冴えに冴えているのは(それだけに一部の人たちの憤激を買いそうなのは)、「亡国論」の歴史を扱った第十章だろうか。

本書は、二見書房刊行の「パオロ・マッツァリーノの日本史漫談」に加筆し改題したもの。
第一章 つゆだくの誠意と土下座カジュアル
第二章 先生と呼ばないで
第三章 全裸のゆくえ
第四章 部屋と開襟シャツとわたし
第五章 絶えないものは、なんですか
第六章 名前をつけてやる
第七章 東京の牛
第八章 疑惑のニオイ
第九章 戦前の一面広告
第十章 たとえ何度この世界が滅びようと、僕はきみを離しはしない
文庫本おまけ 諸説あります

この著者の著作は初読でした。
これまで著者名から、お手軽な企画の在日欧米外国人による日本社会、文化への批評本と思っていたら、ちがった。「論より証拠」のまっとうな学問の作法にのっとった文化史の本だった。すこし恥ずかしい。
さすがに普段あまり「日本人」の気づかないテーマ(ネタ)の設定は「外国人」の面目躍如といったところ。
戯作者をも名のるだけあって、語り口は軽妙。
願わくば40をすぎているというこの著者が、准教授か教授になっていてくれますように。
227ページの目立つところに、大阪朝“田”(新聞)と誤植がある(第一刷)が、筑摩書房、校正大丈夫なのか。

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