ZETMAN 19 (ヤングジャンプコミックス) の感想

19巻、めちゃくちゃ面白かったです。
長かったタワー編の締め括りに相応しいクライマックスでした。
アニメ版の最終回と同様、花子が裏返って暴走、アルファスが歪んだ正義・独善を振りかざし、ようやく完全なZETMANとなったジンが花子をアルファスから庇いながら止めようとするが…というのが本巻の流れですが、
その過程でも、今回は様々な人間ドラマが交錯していて読みごたえがありました。

それから、伏線というほどのものではないかもしれませんが、今までの長い話の中で散りばめられてきた幾つかの要素が、効果的に演出に活かされているように感じました。
ジンに殴られ、仮面を吹き飛ばされた際に久々に見せたアルファスのちょっとグロテスクだった素体顔が、正義の中身のどす黒さ、醜さを体現していて、「この顏はこう使う為だったのか！」と感心しました。
エンブレムが外れると不気味なのっぺらぼうなのも様々なメタファーを含んでいそうで良い。
あと、歪む高雅を目の当たりにした木葉が、すぐに何かの影響だと感づき、スーツの影響だと知っている科学者たちも含めて、高雅が正気に戻った時のことを心配しているのは読んでて地味に嬉しかったです。
例え内面に少しは歪みがあっても、普段の高雅ならあんなことしないだろうと、関わりの深い人たちはちゃんと分かってくれていて良かった。

そして、何と言っても今回のラスト。
高雅＝アルファスが、何も知らない群衆から「英雄」として湛えられるシーンですが、少年時代編で同様のことがあった時との対比が凄まじいです。
意外に愛嬌があって、良い人で、地味〜に好きだったあの人にも、まさかの役割が与えられており……続きが物凄く気になります。
今回は絵のクオリティ落としてでも早く読みたいと（いつも以上に）思わずに居られませんでした。