百姓から見た戦国大名 (ちくま新書) の感想

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タイトル百姓から見た戦国大名 (ちくま新書)
発売日販売日未定
製作者黒田 基樹
販売元筑摩書房
JANコード9784480063137
カテゴリ歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般

購入者の感想

恒常的に飢饉が襲い、戦争があれば略奪され、財産で争いがあっても裁判も受けられない。山を守るために近隣の村と合力して戦いもするし、領主が無理な年貢を押しつければ山へ逃げ込んでストライキもやる。まさに、中世の村は何の保護もなく、命の保証も全くない。自分の身は自分で守るしかないという、荒々しい緊張感で充ち満ちていた。

本書の全体的な流れは、家臣の領地に口出しも出来ない脆弱な領主と村同士で戦をやらかしてしまう程強い百姓という戦国初期の支配関係が、時代を下るにつれ、大名優位に移っていく力関係の変遷を追っている。

1章の松戸の寺の過去帳から読み取る分析はすさまじい。戦国時代は毎年、春から夏にかけての端境期に大量の死者が出ていたと推定、江戸時代の大飢饉ほど飢饉が常態になっていたという。また、上杉謙信は毎年、関東侵攻を冬から夏にかけて行っていた。端境期に関東で兵に飯を食わせるのが、真の目的だったのではないかと見る。また、北条氏の代替わりは飢饉の際だった。代替わり直後に徳政令が出されたことなどから、「世直し」のメッセージだったのではないか、と著者は見る。

ほかにも、村同士の合戦や戦国期の課税制度など社会史の面白さを感じる素材は尽きない。大名もそうであるように百姓も戦国時代は生命力を感じさせる存在だったことを感じさせる。

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