なぜ、システム開発は必ずモメるのか? 49のトラブルから学ぶプロジェクト管理術 の感想

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タイトルなぜ、システム開発は必ずモメるのか? 49のトラブルから学ぶプロジェクト管理術
発売日販売日未定
製作者細川 義洋
販売元日本実業出版社
JANコード9784534051158
カテゴリジャンル別 » ビジネス・経済 » IT » ビジネスとIT

購入者の感想

システム開発についての本。著者は元プロジェクト・マネージャーで東京地方裁判所IT専門家調停委員。本書の特徴としては2つ挙げられる。まず第1に、システム開発に関する裁判での判断事例を多く盛り込んである点である。第2に、IT分野の訴訟を担当する美人弁護士が要件定義からテストまで、システム開発に関してベンダーとユーザの相談に乗るというストーリー仕立てになっている点である。

それにしてもこの本の、「要件定義工程の完了時点で本当に要件が固まっているプロジェクトなんで、アタシを美人だって思わない男よりも少ないわ」という物語風のセリフ回しは、そのおかげで読みやすくなっているというのはあるものの、控えめに言っても無理矢理感いっぱいである。

ただし、扱われている内容や教訓自体はかなりまともである。この分野の仕事をしたことのある人でこの本を読んで「あるある感」が全く無い場合は、今までよっぽど幸運だったか、逆にもぐりかのどちらかではないかと思えるくらいである。人によっては、当たり前のことばかりすぎてつまらないと思ってしまう人もいるだろうが、見方を変えると、それは普通のことがきちんと書かれているという証拠でもある。

システム開発の工程ごとに章が分かれていて、設計やプログラミングといった、それぞれのフェーズごとの注意点が各章のおわりにまとめてある。また、時折はさんであるコラムにも興味深いものがある。特に、最後のコラムにおいて、ベンダーとユーザのどちらかが相手に対して、「こいつらダメだな。こっちがしっかりしなきゃ」とか、「このお客は何もやってくれないから、こっちでがんばらなきゃ」と最初から思ったときには訴訟に発展することは少なく、逆に、裁判になるのは当初信頼を寄せていたのに途中で裏切られたと思ったケースに多いという指摘は、なるほど、と思った。

ベンダー出身で現在、東京地方裁判所の調停委員の筆者がIT裁判で争点となる点を帰納的に49個に抽出し、解説を加えた本です。

書かれた内容は極めてオーソドックスな内容であり、プロジェクトを成功させるためにはプロジェクト管理の基本に忠実にかつユーザーとベンダー双方が協力し合うことが重要であることが必要であることを再認識させられます。IT裁判は杓子定規的に判断されるものではなくケースバイケースであること、一部の事例で意外なものがあったことが収穫です。本書は読みやすさを考慮して、入門編の位置づけのものだと思います。全体を連なるストーリー性を持たせていますが、49のトラブル事例はそれぞれ「読みきり」で構成されているとどこからでも読めると考えます。また、本文中のデータについて裏づけの弱いものがあり、気になります。

筆者の稀有な立ち居地からの続編を期待したいところです。

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