拳法極意 絶招と実戦用法 八極拳・形意拳・心意六合拳・陳氏太極拳 の感想

『拳法極意　発勁と基本拳』に続く松田氏の著作。
前著『拳法極意　発勁と基本拳』の記述をあっさりと翻した部分がある。
……いや、翻したのではなく発展させた考えを読むことができます。
詳しくは本書を読んで欲しいのですが、

基本拳である「沖捶」とは！

『拳法極意　発勁と基本拳』で「沖捶」について松田氏の考えが書かれていたが、
その記述を自ら訂正し、呉連枝老師の言葉と合わせて再び「沖捶」について語られます。
どうやら無駄を捨て去り磨き上げた【一招】から、その先に広がる【万】が得られるとのことです。

もっとも、その域に達するにはとんでもない修練が必要であろうし、
松田氏ご自身が「自分の修行にそのような可能性を前著執筆以降に見出した」という事です。
。
放っておけば誰にもわからないものを、以前の自分の言葉を訂正することにためらいのない松田氏の潔さに感服します。
今回も正確には訂正ではなく、松田氏自身がやっと見えた「目指すべきもののさらに先」を読者に惜しげもなく教えてくれたということでしょう。

もちろん「八極拳」「沖捶」以外にも生涯をかけて武術研究を絶え間なく続けてこられた松田氏の語るところは得るものがあります。
こういった大変な経験談や、苦労して気づいた修練のコツのようなものを太っ腹に多数の読者が読めるように出版してくれています。
読んだからといって、武術修行にすぐさま役立てることは難しいと思いますが、生涯にわたって修行研究をつづけている著者の視点は後進の指針には充分すぎるほど有益なものになると思います。