合気道と中国武術はなぜ強いのか? (BUDO‐RABOOKS) の感想

山田英司さんは合気道・中国武術の信者というわけではなくて、実戦を考えて作られたはずの伝統武術の多くがなぜ強さが発揮できないのか？という疑問を解消すべく実践・研究を重ねている人です。武術や格闘技における「実戦」について考えたい人にオススメの一冊です。
山田さんは空手などの武道大会における宣誓にツッコミを入れます。
「我々は、武道精神にのっとり、正々堂々と戦うことを誓います」
というのには違和感があり、正しくはこう言わなければならないそうです。
「この大会は空手の大会ですが、武道精神にのっとると、無益な戦いを避け、棄権する人が続出してしまいます。そうすると大会関係者の人に迷惑をかけるので、皆さん棄権はやめて下さい。また、今回の大会は多様な武道の局面を一部切り取った対抗性運動なので、ルールを守ることにより、地力が向上します。このことを互いに認識して、ルールを守って戦いましょう。少なくとも私はそう認識しているので、正々堂々と戦うことを誓います。」
「そんな宣誓がありますか！」と再ツッコミしたくなりますが、山田編集長が武道における戦いについて真面目に隅々まで考えていることはわかります。