人物で読み解く「日本陸海軍」失敗の本質 (PHP文庫) の感想

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参照データ

タイトル人物で読み解く「日本陸海軍」失敗の本質 (PHP文庫)
発売日2014-02-05
製作者兵頭 二十八
販売元PHP研究所
JANコード9784569761183
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

雑誌連載を加筆訂正したものらしいが、石原莞爾編の長さと言ったら、ただ事じゃ無い。
一冊の半分が石原莞爾に当てられている。
兵藤氏の特異なところは、石原完爾が心酔した法華経の神髄をサンスクリット語まで遡っているところだろう。
仏教(法華経)がシナ人により改竄されて日本に伝わり、末法の時代が誤って伝えられた背景を丹念に(しつこいぐらいに)描いている。
石原の人生を描きつつ、板垣征四郎・武藤章・東条英機と絡ませて、チャイナで戦争に突入した陸軍の事情を描き出している。

また一方、海軍の保科善四郎編では戦後自衛隊の発足まで絡ませつつ、海軍と陸軍の主導権争いも描いている。

日本のパワーエリートの限界を明らかにする一冊。

【石原莞爾】――<石原教>の蹉跌――戦前のマルクシズムと国体論の狭間で

ほぼ「新書1冊分」の新規書き下ろし『石原莞爾』論が、本書の最大の目玉です。
石原莞爾が、はたして「不世出の天才」だったのか「〇〇〇〇」だったのかは、
ある程度、軍事に関心が高い人ならば、誰しも迷うところでしょう。

いつまでも、無邪気に「満州事変の英雄」と持ち上げてはいられませんし、
「世界最終戦争」にロマンを感じてもいられません。本書は、表題の視点から
石原の生い立ち・若年にまで遡る「バックグラウンド」を掘り下げたものです。
と同時に、日米最終決戦に至るまでの戦前史のダイジェスト版でもあります。

やはり、石原の「奥底」を理解するには、軍事や歴史の知識だけでは
「片手落ち」になるよというのが、本稿の一番のメッセージかと思います。

個人的には、「『分からないもの』を『分かる』と言い出した人たちの系譜」
という、小見出しがグッと来ました。

その他にも、地味ですが「山田顕義」「岡部直三郎」「高橋三吉」「保科善四郎」が
本書を読んで大きく印象が変わった人物でした。とくに「南次郎」は、昔のボブ・サップ
みたいな若い頃の「ゴリラ写真」が載っていまして、東京裁判時のよぼよぼの
お爺ちゃんのイメージが一新した次第です。あれは、素手で人が〇せますよね。

それにしても25人のキャッチコピー(大見出し)が煽る、煽る――。アマゾンの商品説明に
無いようなので、目次より抜粋しておきます。特に「荒木貞夫」「大西瀧治郎」「高橋三吉」
「岡田啓介」「保科善四郎」あたりは、秀逸w。

・蝦夷共和国海軍奉行【荒井郁之助】――宮古湾海戦の殴り込みを指揮した「学のある英雄」のその後
・陸軍少将【村田経芳】――国産か外国産か――新式歩兵銃の「大量整備」への早道は?
・陸軍大将【黒田清隆】――対ロシア最前線――開拓使の「東印度会社」化を狙うも頓挫
・元帥海軍大将【西郷従道】――草創期の明治政府で誰よりも「二者択一」に苦しめられる

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