本当に残酷な中国史 大著「資治通鑑」を読み解く (角川SSC新書) の感想

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参照データ

タイトル本当に残酷な中国史 大著「資治通鑑」を読み解く (角川SSC新書)
発売日2014-09-11
製作者麻生川 静男
販売元KADOKAWA / 角川マガジンズ
JANコード登録されていません
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論

購入者の感想

はっきりいって、残酷です。途中で、気持ち悪くなりそうになりました。中国の史書である「資治通鑑」の内容を紹介した本です。

有名な18史略が帝王と政治体制の変遷を中心に書かれているのに対して、この資治通鑑は史実に忠実であることを旨として書かれているのが特徴だそうです。このため、賞賛すべき忠義だけでなく、悪事についても数限りなく赤裸々に書き連ねられています。このように綺麗ごと抜きのリアルな記録を目指した歴史書である資治通鑑からは、「論語」「史記」「三国志」とは一味違う形で中国の歴史的な特性を知ることができます。

生き地獄のオンパレードです。しかも、紀元前500年から、ほとんど同じようなパターンのことが何度も繰り返されてきたことに唖然とします。確かに、日本史においても凄惨な出来事はいろいろありますが、中国はかなりスケールが異なっています。過去に読んだ中国に関する何冊かの本で、中国人はこういう歴史に育まれた特質を持っているから一見日本人と似ているようでもかなり違う、みたいなことが書いてあって、まあ、そういう見方もあるのかな、と思っていたのですが、資治通鑑に書かれている内容を知ると、それはこういうことだったのか、と強く納得させられます。中国共産党の文化大革命での悲劇や、小中華思想の延長にある北朝鮮の粛清も、やってることは太古の昔から中国で繰り返されてきたこと本質的にはあまり大差がないようです。ちなみに、毛沢東は原書で1万ページあるこの資治通鑑を17回繰り返して読み、部下にも強く勧めていたそうです。

残酷なところだけではありません。権力→蓄財という公式に陥りやすい点や、しばしば面子が正義に優先することも、現代の中国に共通することが指摘されています。また、個人的な意見ですが、権道(手段が常道に反するが結果は道理にかなう)の思想は、現代中国の「愛国無罪」の理屈に似ているところがあると思いました。

著者は、「『資治通鑑』を読まずして中国は語れない。そして、中国人を理解することも不可能である」と、強調しています。残酷な話が苦手な方には必ずしもお薦めしませんが、中国の人々の思考回路を歴史的背景から理解する手がかりにはなる本だと思います。

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