ナゼルの夕べ ～ プーランク : ピアノ・ソロ作品集 の感想

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とても面白い演奏です。フランスの技術の伝統を生かしながら、自由な音楽観と洒落っ気が感じられました。

すでに美宇さんが詳しくレビューしてくれていますので，
参考までに，入手しやすい他の演奏との比較を少々追加させていただきます。

パスカル・ロジェ 1951-（DECCA）
ル・サージュのものと双璧を成す完成度で，
明晰というよりは，柔らかく優美な演奏です。
サティやラヴェルよりも，フォーレやドビュッシーに近い響きで，
この演奏を気に入られる方も多いと思います。

ガブリエル・タッキーノ 1934-（EMI）
ロジェと比べると，一昔前のドライなアプローチですが，
こちらも評判がいい演奏です。
プーランク自身とも共演しているピアニストですから，
実力・表現ともにお墨付きです。
Brillantレーベルのピアノ・室内楽曲集にも収録されています。

ジャック・フェヴリエ 1900-1979 （EMI）
作曲者よりも1歳年下，ほぼ同世代のピアニストで，
演奏のアプローチもよく似ています。
タッキーノよりもさらにドライでキビキビした演奏です。
テクニックや音質で他の録音よりも少し劣るかもしれませんが，
おしゃれな表現で，私自身はとても好きな演奏です。

オリヴィエ・カザール 1962- (NAXOS)
とても個性的な演奏です。
まずピアノが米国Baldwin社製で，音色が全然違います。
（太いというか素朴な音です）
そして力強くて，テンポが非常に速い。
何度も聴きたくなる演奏です。

エリック・ル・サージュ 1964-（RCA）【当盤】
テクニックや音質で抜きん出ています。
歯切れが良く，速めのテンポを保ちながらも，
決して音がつぶれることはなく，
粒立っていて，それでいて艶がある音色です。
明晰で知的な演奏で，個人的には一番お勧めの演奏です。
現在は入手困難ですが，本当は3枚組の全曲盤の録音も残していて，
当盤には「主題と変奏」「プロムナード」「村人たち」などが収録されていません。