ULTRAMAN(5) (ヒーローズコミックス) の感想

ウルトラマンを現代的に再生した作品、新世代の物語として「現代の作品」としての意味を強めた一巻であるように思います。インターネットの存在と、そこにある匿名の意見。人間と怪獣の存在を並立に見せるこの手法はとても力強く、何が正義で何が悪かという題目に、人と怪物の境界が揺らぎます。この手法は見事。過去にゴジラという作品が原子力をメタファーとして扱ったことと同様に、この作品もまたある意味で現代の諸問題を象徴的に扱い始めています。内容についてはどの年代でも（特に男性であれば）楽しめるトピックに溢れており、気になる新組織の存在、主人公とアイドルの関係は勿論、最後の扉絵の恰好の良さには鳥肌が立ちました。
切り札の存在に期待します。

等身大パワードスーツ系ULTRAMAN、第五巻。今回の主な内容は

謎の連続殺人事件の首謀者発覚、その末路

新たなウルトラマン、その名は切り札(エース)

といった所。

インターネットの不特定多数による無邪気かつ無責任な「悪意」が取り返しのつかない因果を呼ぶ。誰もが被害者に、そして加害者になりうる。そんな戒めを込めた今作は、時代を反映したSFドラマであると言う点から見るとウルトラシリーズらしいのかも。
正に優しさが必要とされるこのエピソードの後に例の新キャラが現れるのが皮肉。こいつも腹に一物ありそうだし。

それはそうと五巻の目玉の一つがULTRAMAN初立体化の特典フィギュアです。
全長約14.5cm、小振りな為正直期待してませんでしたが実物はなかなかどうして、格好いい!金属的な質感を帯びズッシリと重量感があり、滅茶苦茶細かく精巧です。勿論背面塗装済み。
原作で確認出来ないディテールも堪能できます。フィギュアにつき物の個体差を確認出来ないのと、やや値が張るのが難点ですが、個人的には満足でした。

フィギュアの出来もあり、今回は評価星五つ!あと一つ、地味に楽しみだったあとがきマンガが今回無かったのが残念でした。