日本人の「戦争」――古典と死生の間で (講談社学術文庫) の感想

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タイトル日本人の「戦争」――古典と死生の間で (講談社学術文庫)
発売日販売日未定
製作者河原 宏
販売元講談社
JANコード9784062921343
カテゴリ歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般

購入者の感想

かつての戦争を不可逆性や生の悲哀という情理から捉え直し歴史と文化による実感と共感の交流を志すものである。
一つ一つをそれだけで見ても驚くような鋭く美しく力強い見識が織り込まれ散りばめられている、珠玉の論考である。
存在の罪におびえる闘争の境域を生きる修羅の道のこと。合理の徹底はついには虚無にいたること。形式や論理や
主義や条文などの抽象を至上とする、精神の官僚化のこと。「国体」という言葉をはじめて法律用語として登場させ
重大な機能を担った治安維持法のこと。格差の解消に全霊を尽くす政治の姿勢が必要であること。神によってのみ
最後に審判される形而上の罪のこと。共産主義の帝国主義論の現代的意義のこと。どこを開いても光が輝いている。

「神を失った人間には…刹那だけが残る。『永遠』を見つめる眼が失なわれるからである。歴史を失った人間には、
どこにでも通用する『抽象』だけが残る。自分を貫いて過去から未来へ流れる生の実感を失うからである。『抽象』とは、
そのような実感を欠いた数であり、主義であり、貨幣であり、制度である。戦後日本人は『歴史』を失った人間として、
それに代わる外来の『抽象』を信奉しているかのように振る舞っている。ここにいう『歴史』とは人々が愛着し、
それと共に生きているという実感に支えられたものとしてである。歴史が人に、その中で自分は生きているという
喜びと悲しみの実感を与えなくなった時、既にそれは形骸化し、『抽象』化している。」(21〜22頁)

「…スサノオの慟哭こそ、古代神道が説く荒魂(あらみたま)の発露となる。おそらくは本人にもそれと自覚されることのない
荒らぶる魂の躍動である。…求めるものはひたすらに亡き母のいます『根の国』、万物の大『本』へ還ろうとする欲求の突き動かす
ものだった。帰本への欲求、それは多分人間性に深く内在するもので、しばしば宇宙、万物の存在に対する根本原理―西欧的な
発出…に対する帰本…―となる。われわれの心と魂、したがって文化と歴史は深く帰本の欲求に満たされている。『本』への還帰、

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