魔法少女禁止法1 の感想

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タイトル魔法少女禁止法1
発売日2014-10-15
製作者伊藤 ヒロ
販売元KADOKAWA / エンターブレイン
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購入者の感想

基本的にネタバレは容赦なく記載しますので、読む際にはそこら辺をご留意ください。

本作は2010年に『アンチ・マジカル ~魔法少女禁止法~』の題で一迅社文庫より発売された作品で、
続編を思わせるような伏線を作中で匂わせながらも結局発売されることなく
長い間読者をやきもきさせてましたが、この度エンターブレインに版元を移し、
表題も現在の物に改題して新装版が発売される事となり、またナンバリングが付いたことで
続刊の展開にも大きな希望が見える事となりました(実際、巻末で第2巻の発売を明確に告知されてます)。

内容は一迅社文庫の物にかなりの改稿が入っており、中でも個人的に一番大きかったのが
「おしゃれ天使スウィ〜ト☆ベリー」並びに「魔法少女サクラ」こと佐倉真壱といった
主人公格2名の人物像に大きく手が加わったことで、ベリーは一迅社版においては
「変身した姿のまま24歳になり、変身前の姿は10代当時のままだった」とされてたのに対し、
こちらでは「変身した姿は12歳のまま成長せず、変身前の姿は23歳の姿になっていた」と
まるっきり真逆の描写にされており、それも見る影もない程にボロボロな姿だったりと
ある意味では彼女の元ネタともいえるロールシャッハの「ヒーローの仮面を剥いだら醜男」という
要素をより強く押し出したような感もあります。
それに併せて一迅社版では「大人の女性に憧れる男の娘」的なポジションだった真壱も、
ベリーへの憧れはそのままに、一人称が「僕」から「俺」になるなど性格面が修正され
また身長170cmの男子と設定される等、相対的にベリーと対比する形でキャラが変更されてます。

そして、新装版販売に際して何よりも大きいのは、当時から読者が待望していた「物語の続き」……
1巻時点では終盤部分の描写が大きく改稿されている他、2巻以降の物語に繋がるであろう
エピローグ、惑いはプロローグ的な「第0話」も書き下ろされていますので、
当時『アンチ・マジカル』を読んで作品が面白かったと思った読者の方にはお勧めできる一冊です。

90年代――"戦う魔法少女"が生まれ、悪を滅ぼした後制定された"魔法少女禁止法"。
ある少女は姿を消し、ある少女は自身の出自を公表し著名になり、ある少女は精神病院へと送られた。
それから10年が経ち、ひとりの元魔法"少女"が殺されるところから物語は始まる……。

本書はアメコミでも最高傑作のひとつといわれる『ウォッチメン』のインスパイア、パロディ作品である。
ウォッチメンは『実際にDCコミックスのヒーローが存在した場合、アメリカの歴史はどうなっていたか』を描いた壮大なSF作品であるが、本書はヒーローを"魔法少女"へと変換させることに、うまく成功している。
出てくる魔法少女たちはウォッチメンと同じく、実際にある作品のパロディであり、その作品を知っている人はニヤリとさせられる。
同時に、ウォッチメンのパロディとしての側面と、あまりにもうまく合致しているのは見事である。
未読であれば実際にウォッチメンを読んでから本書を読んでいただきたい。

では本書はただのウォッチメンのパロディでしかないのか?
実際本書がリニューアルされ続きが書かれると知ったときは、なかなか想像がつかなかった。
しかし中盤からはそのパロディを脱ぎ捨て、なかなかハードな展開になり唸らせてくれる。
序盤まではパロディの域を出ないものかと思ったが、なかなか楽しみな作品。
筆者がアニメ脚本を仕事としているところからか、セリフ回しに勢いもあって爽快である。
出てくる魔法少女の幅も広く、次巻からはな○はやプ○キュアも参加するようで……どう料理してくれるのか。

ひとつ注意するところがあるとすれば、元ネタのウォッチメンを知っているひとなら承知のとおり、"魔法少女"のイメージとはかけ離れたエグい描写が多い。
そこはもちろんおいしいところなのだが、苦手な人は注意されたし。

(ひとつ注文つけるなら、イラストなどはもっと充実してほしかったかな……)

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