異端児たちの決断 日立製作所 川村改革の2000日 の感想

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参照データ

タイトル異端児たちの決断 日立製作所 川村改革の2000日
発売日販売日未定
製作者小板橋 太郎
販売元日経BP社
JANコード9784822277895
カテゴリジャンル別 » ビジネス・経済 » 実践経営・リーダーシップ » 企業動向

購入者の感想

屋台骨が傾きかけた日立製作所のV字回復の立役者川村氏達による改革の軌跡の話。
日経新聞で少しまえに掲載された「私の履歴書」にも一部被る部分あり。叙述は、現役・存命の
関係者が多すぎることを慮ったか、ややあっさり風味。実際の人間模様や遣り取り(特に
「遠ざける」ことになった事業関係者との etc)が本当にはどうだったのかは憶測するしかない。

ちなみに、私はどちらかと言えばこの会社の顧客筋にあたる立場におり、協力頂いて進行
していたとある事業が、日立製作所さん的にはどうも不採算部門である、という判断になった
ということで当時若干難儀した記憶があったりもする。が、そのことで含むところを残すものでは
毛頭ない。

日立は、もの凄く真面目に基礎データを自力で積んで話しを詰める処という印象がある。
本書を読み、これはやはり社風なのだろうな、と思った。今後の発展を期待し、応援したい。

日立製作所を頂点とする日立グループは、出向=キャリアダウンといった、いわば銀行のような構造を持つとともに、少数の日立系企業が、製作所といえどもおいそれとは口出しできない独立自尊の地位を築いた、分断された企業グループであり、それは例えば三菱グループにおける銀行と商事のような関係を彷彿とさせる構図でした。

そんな日立を復活させたのは、皮肉なことに日立製作所社長レースに一度は敗れた川村氏でした。ただ、当時の社長レースに勝った庄山悦彦氏いわく、「ホントは俺より川村のほうができるんだよな」。「即断即決で味気ないほどドライ」な川村氏でなく「俺についてこい」という親分肌の庄山氏が社長レースに勝ったものの、日立の危機の再建を庄山氏が託したのは、川村氏でした。本書のタイトルに「異端児たちの決断」とありますが、川村氏は異端児では決してなく、本来リーダーに選ばれてしかるべき人物だったと思います。

ところでそれまでの日立は、日立製作所の社長といっても、グループ会社から「子会社の悲哀も知らないくせに」と揶揄されるボンボンであったのが、川村氏には出向経験があり、子会社の悲哀についても「俺はよく知ってる」と言うことができ、また子会社の社長連よりも年長者であるがゆえに、グループの誰もがその言に従わざるを得ないという、グループの大改革を遂行するにあたり絶好のポジションを築くことができたのでした。

社長人事といえば、若返りばかりが取りざたされもてはやされる今日、こんな改革手法があったのだと気づかされました。瞠目の一冊です。ほかの企業グループにこの手法が波及するかどうかはわかりませんが、この改革のやり方は他の多くの日本の大企業グループにも適用可能だと思わせる点で、本書は日本経済の希望にみえます。

国内大手企業が世界市場で存在感を失う中、注目を浴びる日立の業績回復。その改革のベースには経営陣の断固たる決意、勇気があったことがよく分かる。大手企業の経営陣と仕事をすることもあるが、自身のリスクを回避するために動く人も少なくないと感じていた。現在大企業の経営陣として活躍している方、次の経営陣となる中堅リーダーにぜひ読んでもらいたい良書だ。

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