怪談 の感想

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参照データ

タイトル怪談
発売日販売日未定
製作者小池 真理子
販売元集英社
JANコード9784087715675
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学

購入者の感想

小池真理子はかつて「簡単に真似できるようでいて絶対にできない」作家がいるとあるインタヴューで語っていた。
その作家とは大作家「内田百’’’’けん」である。
しかし本書、そのタイトルもずばり「怪談」でついにその域に達した。

このインタヴューは、今はなきマニアックな季刊怪談誌「幻想文学」の94年と96年に二度登場し、傑作長編ホラー「墓地を見おろす家」から傑作怪談集「水無月の墓」までを語っている。
小池真理子はこの中で最も好きな作家「百’’’けん」のすごさを語っている。
<百’’’けんの作品は何だかわけのわからないだけなのに、ものすごく怖い作品を書くがだいたいストーリーがないような、どうってことない話しか書いていない。>
<その比喩表現にしても「総毛だった」とか「背に水を浴びたような」とか平気で使う。だけどそれが文章の流れの中で自然と生きてくるとすごく怖いのだ。>
<だからホラーでも幻想小説でも一番難しいのは文章であり、行間に溢れ出るものがある文章を書くのが最も難しい>のだと語る。

そして最も好きな作品は文学作品のように名文で、とてつもなく後味の悪いスーザン・ヒルの「黒衣の女」と言い切ったのには納得させられる。

本書の冒頭におかれている「岬へ」では<私>が20年前に知り合った男が<犬をよろしく>という書置きを残して自殺した岬へ行く。彼の霊を慰め自分の今までの過去に区切りをつけるため、彼が最後に泊まったペンションを訪れる。
これだけの話だが登場するペンションの老オーナー夫妻をはじめとする人々の行動がどこか気味悪く、会話もどこかずれていて不快感に満ち最後の一行で突然、水を浴びせられたような気分になる。

「座敷」は<私>が数年会っていなかった女友達の嫁ぎ先を訪問する。友人はまだ36歳だというのに<髪の毛には白いものが目立った。(略)肌が艶を失っているせいか、死に化粧を連想させる。>ほど数年の間に面差しが変わってしまっていた。その屋敷は広大なものでずらりと座敷が並んでいた。主人である夫は数年前に死んでおり彼女は再婚していた。
ストレートに鳥肌が立つ物語である。

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