数学で何が重要か (ちくま学芸文庫) の感想

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参照データ

タイトル数学で何が重要か (ちくま学芸文庫)
発売日販売日未定
製作者志村 五郎
販売元筑摩書房
JANコード9784480095343
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購入者の感想

志村先生の書いた本ということで、現物を見ずにレビューだけをたよりに購入して読んだ感想です。
一回目にざっと目を通した感想なので、繰り返して読めばまた別の感想になるのかもしれません。

「数学で何が重要か」の答えは、この本の中ではかなりはっきりしているように見えます。--- つまり、「志村さんが重要だと思っていて、今、解こうとしている問題の解決に役に立つことが重要なことだ」。

まず、初めの方に「実数論を教えてから、解析を教えるのは時間の無駄。当り前のことは飛ばして、必要になったときに学べばよい」といった趣旨(評者による解釈)のことが書かれています。
正17角形の作図やペアノの公理などを例にあげて「当時に重要だったことが今でも重要であるとは限らない」ということも書かれています。

これは、まあ、そういう授業を受けてきた身としては、少し同意し難い部分です。
確かに、昔は大学院で学んでいたような事柄を、今は学部レベルで学ばなくてはいけないという時間的制約を考慮したお考えなのでしょうが、それを言っては、後の章で出てくる、Dedekindによる類数の計算や、Adele群の計算なども、『すでに陳腐化した数学』と呼ばれてもおかしくない気がします。

この本の異色とも言える、50頁強を占める「2次の不定方程式と類数,体積公式」の英文の論文(第9章)ですが、最初に手にしたときは、『なんでこんなものが(ページ数の制約も多い)文庫本のほぼ中央に置かれているのだろう』でしたが、その理由は、8章の終りに書かれていました。
「この方向ばかりでなく、全体として代数的数体上の2次形式の理論はまだ発展性がある」ということで、その方向性を示した論文が掲載されていたということのようです。(その続きを書くことが読者に期待されているのかな?)

そう思って本の全体を見回すと、なぜこういう章建てになっているのかわかるような気がしますね。

誰もが認める、大数学者、志村五郎博士の書いた本.

数学をいかに使うか、数学の好きな人のために
に引き続いて出された本である。

志村博士は83になられてもますます盛んに執筆されていて
とてもうれしい。

50年近く前になるが、志村先生に東大で若手のための
講演をお願いしたところ、
数学の論文を書くとき恭しくあらねばならない
とのお話をされた。

 志村先生の一般向けの3部作は、数学かかわるもの
すべての人へのメッセージである。

これだけは言っておきたいことをまとめて書かれているのであろう。

 87-139ページには、アメリカ数学会の雑誌に載せられた英文の
数学論文である。一般向けの文庫に載るのはきわめて異例である。

しかし、志村先生はこの程度はわかってほしいと考えてているに違いない。

 私は、志村先生の数学を尊敬している一人だが、英文の論文は読んだことはない。
これを機会に少しは読みたいと考えている。

飯高茂

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