使うなら、どっち! ? (Sanctuary books) の感想

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消費者がより良い製品を選べるように、という思想自体はとても素晴らしいものだと思います。
ですがそのための書籍としてはあまりにもお粗末過ぎませんか。

合成界面活性剤は悪い、石鹸は良い。
石鹸なら手荒れしない？とあります。
しかしこの本の参考文献に「洗剤の毒性とその評価」という記載がありますが、
この文献によれば石鹸も十分手荒れを助長する性質があるとはっきり記載されているはずですよ。

「LAS」（直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩）は「誤飲すれば量によっては死亡」とか書いてますが、
この急性毒性値（LD50）はマウスが平均約2g/kg（参考：『洗剤の毒性とその評価』より）なので、
50kgの人間なら100gのLASを一気飲みすれば半分死ぬかも？というレベルです。
例えばお風呂のルックはLASの配合は5％ですから、これで死亡しようと思ったら2Lは一気飲みしなければなりません。
こんなにいっぱい「誤飲」するなんて明らかに現実離れしてますし、もしやったとしても必ず途中で嘔吐します。
だから「LASで死ぬ」っていうのは実際問題不可能です。
そんな毛ほどの危険をあたかも猛毒有害物質のように書き立てて何の意味がありますか。
（確かにLASは皮膚刺激は高い方なので皮膚洗浄用には相応しくないですが…私はトイレとかお風呂とか台所用なら別に良いと思いますよ）
ちなみに半数致死量の毒性で言えばLASなんかよりも通常のアルキルエーテル硫酸塩のAES（LD50=約1.5g/kg)やAS(LD50=約1.0g/kg)の方が毒性は強いです。（参考：洗剤・洗浄百科事典）
いずれにしても経口毒性としては無毒性の値なのでどうでも良いのですが、少なくとも「LASが一番毒性が強い」という記載は間違いなく誤りです。（そういう間違いが臆面もなく書いてある書籍ではあるということです。）

そもそも塩だって醤油だって「誤飲すれば“量によっては”死亡」します。
しかし安全な分量正しい使用法で用いる分には危険はほとんどありません。
生活用品に用いられる化学成分とはそういう類のものばかりなんです。

今までも体や地球にいいものをできるだけ使いたいという思いがあって、ネットで調べたり詳しい人からきいてみたりはしていましたが
使わない方がいい、危険な成分などの名前は結構難しくて、一度目にしたり聞いた位だとすぐ忘れちゃうんですよね…。
この本は、成分から危険を知らせるのではなくて、実際に販売されている商品から比べてあって、さらにどうしてこれがだめなのか…？という部分に使われているものやその影響などが注釈してあるような感じなので、分かりやすいです。
しかも、写真が見開きで大きく載せてあって、これとこれならこっちの方が安心だよ！というような感じで視覚的にぱっと情報が入ってくるのも簡単で良いなと思いました。
最初から順番に読むのも良いですが、今日の買い物でこれを買うけど、なにに木をつければいいんだっけ？何を買った方がいいんだっけ？と思った時に、辞書を引くみたいにササっと見るような読み方でもかなり使えると思います。

とても便利なので
昨年出版されている、食べるならどっち？！というのも手元に置いておきたくなりますね。

この本に掲載の商品はほとんどは知って、いてわが家で使っているものばかり。掲載されているすべての商品が使わないほうがよいものではなく使うならどっちがいいのか写真大でおよそ２択ですぐわかるのは記憶されやすいです。成分のことにくわしくない人でもわかるように、何が何に悪いという説明書きもあり親切です。衝撃だったのが子供用とされている商品でも使い方しだいでは害になるものもあるので子供用で全てが安心ではないんだということ。間違った使い方をしないためにも身につけておきたい知識がたくさんありました。こちら本は環境のことに関心があったり、小さな子供がいて慎重な商品選びをしたい人にとくにオススメです