官報複合体 権力と一体化する新聞の大罪 の感想

アマゾンで購入する

参照データ

タイトル官報複合体 権力と一体化する新聞の大罪
発売日販売日未定
製作者牧野 洋
販売元講談社
JANコード9784062174824
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » マスメディア » メディアと社会

購入者の感想

金融機関でアナリストとして20年ほど勤務している間、日経の企業の業績報道予想記事に違和感を覚えていた。その情報の正確性と詳細さから、明らかに企業内部に取材したインサイダー情報であるにも関わらず、取材先の明示がなかったからである。インサイダー規制は?風説の流布にはあたらないか?などと思っていたが、本書を読んで、日本の新聞社の出所不明記事の取り扱いのいい加減さに起因すると知って、驚くとともに納得した(しかし問題は未解決)。

本書の主張はアメリカの新聞報道のほうが日本より優れているという単純な図式に見えるが、事実である限り受け入れるほかないであろう。本書で触れているウイキリークスの日米での扱いの違いや、西山事件、三井環事件、また立花隆の「田中角栄研究」がなぜ新聞社からでなかったかを考えてみれば明白である。

記者クラブの問題点については、ほうぼうで指摘されており、新味はない。一方、特ダネを連発しても、日本では新聞協会賞、アメリカでは取引対象企業と癒着しているのではないかと懸念を持たれるという指摘は面白かった。

筆者は英語の出版物を引用する場合は、日本語訳ではなく、全て原書にあたっている。さらにキーマンにはできるだけ実際に会って話を聞いている。誠実な姿勢に非常に好感が持てた(日本には二次資料や翻訳された資料で本を書く人が多すぎる)。

難点を言えば、本書には繰り返し・重複が多い。筆者は原稿完成後、全体を何度も通し読みして、本全体の完成度を高める努力をしていないのではないか。450頁を超える大書だが、100頁ほどは削れるように思われる。またそうすることで、全体にさらにリズム感が出て、読みやすくなるだろう。

自分の出身母体(日経)を批判するのは簡単なことではない(筆者に経団連から実際に圧力がかかった話など固唾を飲む)。ましてやテレビ局と一体となってマスコミを牛耳っている新聞社の場合にはなおさらである。今後のマスコミの本書の扱いに注目している。

最近新聞を読まないビジネスマンは多いと思いますが、なぜ新聞がおもしろくないのか、本書を読んで改めて納得。 同時に新聞社の怠慢が私たちの社会に甚大な影響を及ぼしているのを実感しました。
本書は、日本語という障壁に守られ、「ガラパゴス化している」という日本の大新聞の内側を書いたもの。 記者が権力・企業からのリーク依存の報道や、いずれ発表になるニュースの先取り報道に血道をあげるあまり、本来の仕事――権力が秘密にしている情報を掘り起こす、独自の分析記事を書くなど――がおざなりになっている様子を描いています。

私は現在某外資系通信社で、国際商品の流れを追っていますが、実はここ数年日本経済新聞はほとんど読んでいません。見出しだけは見ますが。

地球が小さくなり、弊社でもアジア主体の報道に注力しているため、全体からみると日本経済の存在が小さくなったのも一因です。日経は地方紙みたいな感じ。

もっと大きな理由は、紙面が前日の出来事を発表そのまま書いてあるだけなので、読むところがないことです。特に、個人的に絶望感を感じるのは、政治関連の記事です。政治部の記者にとっては、政治家間の人間関係が最大の関心事のようです。肝心の政策検証はお手軽で、素人でも考え付くようなその場しのぎの議論で紙面が埋まっています。腹が立つので、こういうのも読みません。

仕事柄、BBCやNew York Timesのニュースをポッドキャストで聞いていますが、アジアのニュースを発信している、このような信頼できる英語の報道機関がないんですね。

福島原発事故後、政府が放射能物質の拡散予測データを隠していた件では、日本国民は一つ賢くなったのではないでしょうか ――政府・官僚は信用してはいけない。
著者は大新聞がその気になれば、政府発表前に「データ入手も不可能な仕事ではなかったはず」と指摘しています。

あなたの感想と評価

コメント欄

関連商品の価格と中古

官報複合体 権力と一体化する新聞の大罪

アマゾンで購入する
講談社から発売された牧野 洋の官報複合体 権力と一体化する新聞の大罪(JAN:9784062174824)の感想と評価
2017 - copyright© みんこみゅ - アマゾン商品の感想と評価 all rights reserved.