イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策 1 の感想

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タイトルイスラエル・ロビーとアメリカの外交政策 1
発売日販売日未定
製作者ジョン・J・ミアシャイマー
販売元講談社
JANコード9784062140096
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治入門

購入者の感想

 以前から「なぜ米国はあんな得にもならない中東政策を採り続けるのか」と疑問に思っていたが、それがすっきりと氷解した。本書では、けして多数派ではない一民族が、アメリカの意思決定を事実上支配する様子が描かれる。
 連邦議員は常にイスラエル支持を求められ、応じなければ対抗馬に大量の資金とメディアによる賛辞が加えられる。議員となった後も、少しでも意に沿わない発言をしようものなら強力な圧力に晒される。これはアカデミズムの世界も同様で、職を失うリスクのせいで、自由な議論は影を潜める。民主も共和も関係ない。イスラエル関係の議案は、党派の垣根を越えて議員の意見が集約されうる数少ないテーマだ。こうして、「常に無条件のイスラエル支持」が生まれることになる。ブッシュやクリントンは歴代大統領の中ではむしろ中立派だったものの、議会の横断的圧力にさらされ、徐々に政策をシフトせざるをえなかった。それがレバノン侵攻、イラク開戦、シリア、イランとの対決路線につながったのだ。
 重要なのは、これら歪んだイスラエル支持政策がアメリカはもちろん、イスラエルの利益にもつながっていないこと。強引な植民地政策と強硬路線は周囲との軋轢を生み、終わりの無いテロの温床となってイスラエルを圧迫する。そしてそれを支援するアメリカは、世界中から憎悪を集める。本書はすごく遠まわしであるが、9.11テロについても、イスラエルロビーが無ければ発生しなかっただろうと推測する。
 ボリュームのある大著であるが、充実した良書。これがアメリカ人から出てきたことは、今後の変化を意味するのか(国内での出版は断られ、初出はイギリスらしいが)。今後に注目だろう。しかし、アメリカという最強の国家は、開かれた民主主義国であるがゆえに、うちなる敵に対してはこれほどに脆いものなのか。僕が懸念するのは中国人だ。数と豊かさと結束力を持つ彼らがこの先、アメリカの意思決定を握る可能性はけしてゼロとはいえないだろう。

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