カラー図解 鉄の未来が見える本 の感想

世界を代表するような鉄鋼メーカーの新日本製鉄が編著ということで、内容の確かさはそれで証明できようという書籍です。

「鉄」という素材とその特性は分かっているつもりでも、所詮素人レベルの知識です。文系人間にとって、専門的な領域を理解するのには出来るだけ平易な説明が必要で、本書は書名の通り図解でカラーですから、取っ付きやすい編集になっています。新日本製鉄で長年研究開発にあたってきた専門家の観点が随所に展開され、その可能性や発展性について様々な特性を知らしめたい、という思いが感じられました。

章だてを紹介することが内容をよく分かってもらえると思います。世の中の材料―金属・セラミックス・高分子、金属の中の鉄、高強度の最先端をいく―線材、材料技術が支える「安全」「機能」「環境」―棒鋼、鉄の磁性を活かした高機能材料―電磁鋼板、錆に負けない鋼―ステンレス鋼、鉄に願いを、となっています。

身近な金属であり、素材である「鉄」を知ることは日本の産業構造全体を知ることにつながる、ということが見えてきます。門外漢の方ほど有用な図書だと言えるでしょう。読みやすいですが、一定のレベルを維持していますので、しっかりとした内容だったと思います。