BILLY BAT(12) (モーニング KC) の感想

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参照データ

タイトルBILLY BAT(12) (モーニング KC)
発売日2013-08-23
製作者浦沢 直樹
販売元講談社
JANコード9784063872309
カテゴリ » ジャンル別 » コミック・ラノベ・BL » コミック

購入者の感想

ある時この作品の題名が「白鯨」の作者メルヴィルの「ビリー・バッド」と酷似していることに気付いた。偶然の一致か何か意味があるのかを知りたいと思って手に入れておいたのに、読む前に12巻が出てしまった。ケヴィン・ヤマガタの後継者ケヴィン・グッドマンを紹介する巻である。

「歴史というのは勝者が書き直したものだ」(p.68)

陳腐な本にでも書いてあるから、こんなことは活字を読む人なら誰でも知っている。現に今も世界中でやっている。あったことをなかったと言い、自分の所業を相手の仕業だと言い、ありもしないことを吹聴する。全ての戦争は、双方にとって正義の戦争だ。愚昧な大衆は勝者が大好き。敗者の叫びなど上手い具合に忘れてくれる。「正義は勝つ」「真実はいつか顕れる」−そこに一片でも真理があるなら、世界はもっと平和になっている。

コウモリは何をしたいのだろう。正しい歴史に書き直す?まさか。人間が進化しない限り、「真実」などという重い荷物を背負えるわけがない。いつの時代も、大衆は心地よいお話にしか耳を貸さなかったし、つよい力に洗脳された連中は自分が洗脳されている事実にも気付かず、逆に智者を嘲笑し弾圧して事態を権力者の思う壷に誘導してきた。白であれ黒であれ、人間の愚かさを知悉しているコウモリが人間に期待するものなどありはしない。世界のリセットだろうか?しかしそれなら、放っておいても人間は勝手に亡んでくれるだろう。

誰がどんな役割を担っているのかさえわからない思わせぶりな展開は益々肥大して、いったいどうやって収めるのか、竜頭蛇尾にならねばよいが、と心配しながら今後の成り行きに期待する。ところで、明らかに茶化されている米国の某大企業はさだめし不快だろう。「模写をすると殺される」なんて、「社会的に」と追記したら、あながち嘘でなくなってしまう。作者はなぜそこまで危ない橋を渡るのか、私は想像を逞しくしてしまうのだった。

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