謝るなら、いつでもおいで の感想

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タイトル謝るなら、いつでもおいで
発売日販売日未定
製作者川名 壮志
販売元集英社
JANコード9784087815504
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論

購入者の感想

「なぜ11歳の少女が同級生を殺害したのか?」

この問いに対する答えを見つけるために、少年鑑別所による調査、家裁での審理、精神鑑定、そしてメディア上の無数の憶測(「インターネットで暴力的なコンテンツにハマって殺害を思いついた」等)がなされる過程が本書で描かれます。
しかし、こうした大人側のフレームワークは、単なる小学生のけんかと殺害という結果との溝を結局埋められず、被害女児の父親(著者の上司であり新聞社支局長)も、「これ以上考えてもわからない」という心境を著者に吐露します。

一方で、被害女児の3歳年上の兄は、動機がわからないという点までは同じでも、そこから思考を進めて、加害少女とどのような距離をとるべきかを自分なりに定義しようとします。

本書だけを読む限り、兄の考えは父親よりも既に整理されており、「(加害少女と)会いたいという気持ちと、会いたくないという気持ちが両方ある」と語る父親とは対照的に、本書のタイトルである「謝るなら、いつでもおいで」という覚悟に至っています。

大人が子どもを理解できないでいる間に、子どもの考えはどんどん成長して、ときには大人を凌駕する。
兄の成長に、著者は少年法が理想とする「可塑性」(本書では「しなやかな強さ」)を見出し、希望を抱きます。

しかし、これは同時に、兄が成長せざるを得なかったほど、重い事件であったという事を意味すると思います。

子どもの心がわからない大人、そして、大人は判ってくれないと考えている子ども、どちらが読んでも価値のある一冊だと思います。

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