世界を舞台に難題に立ち向かう二人の建築家の姿

TYINはノルウェーの建築家ユニットだ。
本書が出た時点でまだ30代前半と、
とても若い。
しかし、
今やその活動は世界中に注目されている。
本書はその活動の始まりから近況までを綴ったものだ。

その活動はと言えば、
世界各地の難民キャンプやスラム街で起こる社会的問題をどうにかして建築で解決しようと試みるものだ。
そのプロセスも非常に興味深いものであるが、
さらに、
完成した美しい建築写真のページの裏に、
その後に起こった非情な現実も隠さず記述してある。

そのことについての二人の言葉もたびたび挿入され、
彼らは現場で起こったことを誠実に語り、
時には失敗や後悔さえも曝け出す。
そこには誇張も欺瞞もない。
ただただ困難な状況を改善すべく現場に身を投じ、
その度に打ちのめされながらも、
それでもまた真実を求め建築と向かい合う二人の姿を感じ取ることができる。

今後もその活動を追いかけていきたい建築家ユニットだ。