日本は世界的な観光地になる可能性がある、そう気づかせてくれる本です

本書の著者はジャパンガイド（japan-guide.com）を主催するステファン・シャウエッカー氏。

ジャパンガイドは「日本への旅行を考えている、
あるいは日本に興味を持っている」外国人に、

「日本国の観光情報を提供するサイト」とのこと。


私が驚いたのはシャウエッカー氏がこのサイトを立ち上げたのが1996年、
ブロードバンドが
普及するずいぶん前から独自にこの活動をはじめたと言うこと。

対外的な発進力が弱点とされる我が国を、
後方から支援しているシャウエッカー氏のような
存在が、
訪日外国人一千万人達成の陰の立役者だったりしたのですな。


氏の信条は必ず自身で現地に足を運び、
海外からの観光客の視点で観光地を観察すること。

文化が全く違う人々が日本を訪れれば良いことばかりではなく、
むしろ不便なこと、
戸惑うことが多いでしょう。

日本人からすると当たり前でも、
海外からの旅行者がどう感じるかを、
実際の外国人からの
目で体験し、
それを解説、
発信していくことはとても有意義なことであります。


本書はスイス人である彼が日本を知り、
日本人の伴侶を得てから、
各地を旅行しジャパンガイドを立ち上げるまで、

まさに彼の半生が綴られています。


福島の大震災時にはスイス大使館から家族とともに帰国するよう促されたけれど
「日本のためになにかをしたい」と考えた彼は日本に留まり、
確かかも分からない震災の情報が世界中に
拡散していく中で、
最新の情報を正確に、
自身のサイトにアップし続けたのだそうです。


本書は日本人が読んで気分の良いことばかりが書いてある本ではありません。

景観、
色々な利便性で、
観光立国を目指すのならば、
彼が改善が必要と思うことも繰り返し記されています。

2008年から国交省にも協力しているそうですが、
電線の地中化など、
本書で指摘されている部分が少しずつ改善されているようです。
異文化交流の難しさはあるでしょうが、
それはどの国も通る道です。

私は日本はとても魅力的な国だと自負しているし、
多くの人々に訪問してもらい、
その良さを知って欲しい。