見世物をキーワードにした文化誌の可能性

本の帯に「異国、
異次元を横断する《見世物》の文化誌」とあるように、
江戸の見世物研究で知られる著者があちこちを飛び歩いて至芸妙芸と出会い、
その背景にある文化の層を探っていく楽しい本だ。
中国雑技、
菊人形、
象たちとの旅路、
ベトナム水上人形、
江戸の力持、
カザフスタンサーカス、
大道芸、
水芸、
貝細工、
猛獣見世物、
島巡り等々。
全体に東アジアから見た日本という視点と、
江戸と現代文化を往復して意外な文化の像を見せてくれるところが特徴。
個人的には古舘伊知郎アナの実況を日本の口上話芸の伝統に結びつけた章が、
なるほどと思った。