昼と夜のあわいを流れる、儚くも美しい音の群れ

Marcin Wasilewski(1975年生)は、
同郷の大先輩、
名トランペッターTomasz Stankoのバックで腕と感性を磨き、
頭角を現したポーランドのピアニスト。

Simple Acoustic Trioとしての活動で、
日本のジャズ・ファンにもお馴染みだと思います。

Simple Acoustic Trioのリズムセクションは、
Slawomir Kurkiewicz (double-b)、
Michal Miskiewicz (ds)という不動のメンバー。

全員がポーランド出身で、
当地のジャズ・シーンの水準の高さを象徴するトリオとも言えます。

彼らは、
ECMで、
トリオ作品をリリースしている他、
Stankoの「Soul of Things」など諸作品、
そして最近ではJacob Youngの「Forever Young」にも参加し、
見事な演奏を繰り広げたのは、
記憶に新しいところ。

この「Spark Of Life」は、
ゲストにスウェーデンのJoakim Milder (ts)を招いての、
ECMからは4枚目となるリーダー・アルバム。

トリオ6曲、
カルテット5曲で、
全体を聴き通して、
丁度良い構成と感じます。
11曲中6曲がWasilewskiのオリジナル。

録音は、
2014年3月、
スイスのルガーノにて。
ECMにしては、
リリースまでの期間が短いのは、
自信作である証拠か？
もちろん、
プロデューサーはManfred Eicherで、
内容と共に録音の素晴らしさにも耳を奪われる傑作。

1曲目「Austin」は、
穏やかでメロディアスな、
アルバム全体を象徴するかのような曲。
説得力を増したピアノに、
Wasilewskiの成長ぶりが伺えます。

2曲目「Sudovian Dance」は、
低い位置から忍び寄ってくるドラムスが印象的。
サックスは、
全体の雰囲気を乱さない落ち着いたトーンを奏でます。

これもドラムスに導かれるように始まる3曲目「Spark Of Life」。
全体に穏やかで、
音の織りなし方がとても美しい曲。
サックスの音色が空間に溶け込んでいきます。

4曲目「Do Rycerzy, do Szlachty, do