革新的な本だが、読者ターゲット設定が不明

実書店にて購入。

勉強法というのは、
どんな教材を使うか、
と、
どんな手続で勉強するか、
という二種類に別れ、
後者は、
教科別の専門的な勉強法と、
どんな勉強にも共通と思われる汎用的な勉強法にわかれるでしょう。

この本の守備範囲は「汎用的な勉強法」です。

これについては、
いままで明確な良書がなく、
人気どころでは「超高速勉強法（椋木修三）」という本がありますが、
これは、
成功者の体験談に基づくもので、
また方法論がいちいち細かいため、
「勉強法を勉強する時点で挫折する」ということになりかねないものでした。

この本は、
「そのへんに普通にいる児童・学生をあつめて、
こういう実験をしたら、
こういう結果になったので、
つまりこのような方法で勉強すれば良い」という論法で組み立てられている本です。
まずそれが、
説得力を劇的に高めています。
選ばれし天才みたいな人の話ではない、
ということです。

また、
その勉強法も、
それそのものを修得するための努力は不要であることや、
方法論自体は数個しかなく厳選されており数が少ないため、
実際にすぐにでも実行に移せる、
革新的なものと思います。

本書内では学生の試験を主な目的とした構成になっていますが、
汎用的な方法論のため、
社会人になってからの仕事のための勉強にも応用が効くもので、
働きながら語学を学ぶとか、
資格を取るためにも使うことが出来ます。


ただ…

本の作りとして、
読者ターゲット設定がさっぱり分からないんです。

本文の文字サイズがすこし大きめなので、
中学生も守備範囲か?と思わせますが、
イラストは幼稚園〜小学生向けなのは間違いないですし（「おぼっちゃまくん」を喜ぶような世代向けの絵）、
カバーの折り返しに「小学生にも使えます」と有りますが、
漢字にフリガナが一切ないので、
小学生が読むのは厳しい。

子供向けにしようとした故に、
実験に関するグラフやデータを1ページにコンパクトに押し込んでしまっているんでしょうが、
この本の売りは、
この実験に関するデータそのもので、
これが有ることによって説得力を高めているので、
これも大失敗。
データはページ数をふんだんに使って見せるべきでした。