本書は、小澤さんの伝記でもなく記録でもなく、中野さんの考える小澤征爾論です、面白いです！！！

　最近、
小澤征爾さん関連の雑誌特集、
記事、
本がやたらと目につきます。
例えば、
レコ芸2014年7月号、
おかしな音楽　私の履歴書、
　
　小澤征爾さんと、
音楽について話をする（ただし、
これは単行本の文庫化です）・・・・いずれもレヴューしています・・・・・・、

　小澤さんも功成り名を遂げられたからかなと思いますが、
本書もそういった中で出版されたもののようです。

　ただし、
本書は、
プロローグでも書かれているように、
小澤さんの伝記でも記録でもなく、
著者の中野雄さんが考える小澤征爾論です。

　中野さんは、
その人の人生の60％以上は、
生得の遺伝子・・・DNAですね・・・の影響を受け、
残りの40％が環境、
　
　そして、
残りの1％が運だと考えています。
そのため、
小澤さんの父、
開作さんについて、
かなりのページ数を割いています。

　なぜなら、
開作さん自身の青年期の人生の軌跡は、
彼の三男、
征爾さんのそれに酷似しているからです。

　よく御存じのように、
小澤さんは、
1935年生まれ、
桐朋学園短期大学で、
恩師、
斉藤秀雄さんに厳しく鍛えられ、
1959年、
単身渡仏、

　ブザンソン国際指揮者コンクールで第1位を獲得・・・この時の当たって砕けろ式の行動についても述べられています・・・、

　そして、
巨匠シャルル・ミュンシュに弟子入り、
また、
同時にカラヤン、
バーンスタインにも目をかけられます。

　日本で、
いわゆるN響事件を起こした後は・・・この件についてもかなり詳しく書かれています・・・、
活躍の場を海外に求めます。

　以後、
1964年カナダトロント響音楽監督、
1970年サンフランシスコ響音楽監督、
1973年ボストン響音楽監督と、

　とんとん拍子に出世していきます。
本書は、
ここまでで、
全体の2/3費やされています。

　また、
1966年8月には、
WPOデヴュー、
同年9月にはBPO定期演奏会デヴュー、
これらは本当に素晴らしい実績です。

　もちろん、
これは彼の実力だけではなく、
コロンビア・アーティスツのロナルド・ウイルフォードとの契約が、

　大きな要因であることは言うまでもありません。
これ以後は、
ウイーン国立歌劇場音楽監督の座を射止めるわけですが、