許されざる恋

藤こよみ「ひとつ屋根の下の」1巻。


藤こよみの絵柄は見ればすぐ藤こよみだと分かると同時に無添加な可愛さがあって個人的にはとても好み
その上以前にも増して画力も上がり喜怒哀楽の表情もより読み手にグッと伝わりやすい熱量を含んできて最高でした。

親から反対される恋愛物は割とベタだが、
これはそれ以上に複雑な因縁や思慮が垣間見れて
物語を読み進めるのがとにかく楽しく純朴な絵柄と共にきっちりと盛り上げ上手なストーリーもやはり巧いと再確認
様々な障害が二人に立ちはだかるが、
その中でも一生懸命愛情を育む二人の姿に心打たれる
所謂王道を上手く料理している類の作品だと感じた。

色々と複雑な事情が絡む中で健気に恋愛をする久太とりり姉ちゃんの様子はニヤニヤしながら読めることうけあい
毎回純朴な恋愛模様と隙のないストーリー構成で魅せてくれる藤こよみ作品、
今回もまた私的には間違いの無い作品だったかと。


ヒロインのりり姉ちゃんは自分を律して押さえ込みながらも、
それでも溢れてしまう久太への想いとその描写が
本心からの愛情である事を感じさせてくれるし、
その久太に関してはラブコメ主人公にありがちな優柔不断さが見られず
年下ながらも彼女をひっぱってリードしてくれる姿が非常に頼もしく格好良い。

下手に他の女子にデレデレしない節操もあるし、

何よりも完全にりり姉ちゃんに一途な姿と行動がしっかりとした純愛を感じさせてくれて読んでいて気持ち良いなと思う
そういった二人の心情表現や行動理念を過不足なく描けてるからこそ感情移入も出来るのだと思う
お話が順当に面白いのは勿論、

それを演出するキャラクター造詣もまた優れているのがこの漫画の特徴
ラブコメ好き、
或いはハーレムでなく純愛を読みたい人は是非手に取って欲しい渾身の一冊に仕上がってると思います。

まだまだ今後も波乱万丈な展開が待っていると思うので、
二人がこれからどう乗り越えていくかも楽しみ。


ニヤニヤ描写も前述の通り抜群だが、
目力のある決意の表情の数々もまた印象に残る作品です。