杵松と絶対城と礼音と…人物間の関係の描き方が本当に良い!
ネクタイの上に黒羽織、
傲岸不遜な物言いと時々見せてくれるツンデレ成分たっぷりな態度が魅力的な妖怪学の徒・絶対城先輩の物語、
第四弾
今回は演出技術で絶対城の相方を務める杵松明人が大活躍

物語は年の暮れを迎えたある日、
准教授の織口が絶対城に東勢大学の学生も巻き込んでいる新興宗教団体「大日本護法息滅会」に関する相談を
持ち込んでくる場面から始まる。
理工学部の元院生が教祖として始めたその団体で教祖のお祓いを受けると幸せになるという噂から入信者が増え
それと同時に教団への献金稼ぎに振り回される学生が増えている事から何とかして欲しいという相談に最初は冷淡な姿勢だった絶対城だったが
教祖の招待が「憑き物使い」と聞いた途端、
動き始める。
礼音を相談者として教団に乗り込んだ絶対城は教祖のインチキを見破るが、
その瞬間
「不信心者に罰を与えよ」との謎の声が響き、
礼音が謎の腹痛に襲われる。
悶え苦しむ礼音を救うために絶対城は教祖に完全降伏を申し入れる事に…

まさか杵松が絶対城と組む事になった切っ掛けが一巻で描かれた織口准教授の下、
暴れまわっていた柔道部の専横にあったとは…。
本当に巧いこと
過去のシリーズ中で描かれたエピソードを使ってくるな。
演出担当として自分の大切な場所であった演劇部を柔道部に潰されて残った遺恨と
珍しく絶対城とは距離を置いて動く杵松の謎の行動、
更には地域社会的に恨みを買い続けた権力者の家系や泥田坊の様な恨みつらみに絡む妖怪と
様々な要素を織り込んで無数の伏線が張った上で後半から終盤にかけてビシバシと回収して読者にグイグイ頁を捲らせる構成の巧さは相変わらず

今回は杵松明人という絶対城の無二の相方にスポットライトが当てられるのだけど、
キャラクター間の関係の描き方が見事。
絶対城と杵松の出会い
から描いて、
杵松が過去に所属していた演劇部と理工学部に絡む人物を今回騒動を巻き起こす「大日本護法息滅会」の教祖とする事で、
杵松が
絶対城と距離を置いて独自行動を始める様が描かれるのだけど、
一人取り残された絶対城先輩が見せた珍しく寂しげな様子が印象的。
普段は愛想の
絶対城先輩の妖怪学講座 四 (メディアワークス文庫)

その他の感想

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とてもよい一品
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