「私は、若者に賭けたいと思います」

　本書は『原発のコスト』というタイトルから分かる通り、
あくまでもコストについて語った本である。
そして、
コストだけではない、
たくさんの数字が本書にはでてくる。
その数字をざっと紹介していこう。


・スリーマイル島事故は数日で収束。
チェルノブイリ原発事故は二週間で収束して、
七ヶ月で石棺封じ込め。
福島第一原発は事故から数ヶ月たっても収束のめどたたず。


・大気への放射性物質の放出は、
事故直後数日間は一時間ごとに2000兆ベクレル。
四ヶ月過ぎた時点で、
一時間ごとに2億ベクレル。
中越沖地震の際、
柏崎刈羽原発からの放射能漏れが問題になったが、
あれは4億ベクレル。


・福島第一原発事故により非難を強いられている人の数は15万人。


・東京電力の計算では、
福島第一原発の一縲恫Z号機全体の廃炉費用は1兆6839億7000万円。
しかし、
チェルノブイリ原発事故では2350億ドル（約19兆円）かかっている。


・電事連はこれまで、
運転期間40年、
設備利用率80％のモデル計算によって、
原子力発電が他の発電方法よりも安いと計算。
しかしこの前提は非現実的（またこのモデル計算でも、
条件によっては原子力は石炭やLNGより高い）。


・モデルではなく実績値で発電のコストを計算すると、
一キロワット当たり、
原子力は10.25円、
火力は9.91円、
水力は7.19円（※なお原子力については、
放射性廃棄物の処分コスト、
いわゆるバックエンドコストを含めずともこの数字）。


・原子力発電所の立地にあたっては、
自治体には、
環境影響評価の対象になった翌年度から、
（建設期間を10年とした場合）運転開始までに449億円が交付される。
運転開始後は年間約20億円が交付される。


・たとえば中国電力上関原発をめぐっては、
未着工段階から（1984縲鰀2010年）、
人口3550人の上関町に総額45億円の交付金。
上関町は室内プールなどを作る（なお、
プールの目の前はきれいな海）。
上関町の税収は約2億円。
そこに原発がらみの歳入が14億円。