領土問題では勇ましくないからリベラルと思うのかもしれぬが、著者は本来勇ましい人だよ。

　佐藤優氏が指摘している通り、
著者は歴史修正主義者だ。

　その意味では、
ネトウヨに礼賛されねばならないのだが、
なぜか左翼に好まれ、
講師として呼ばれている。

　私は直接会ったことはないが、
著作でも違和感は感じ続けている。


　本書でも頷く点も反対する点もあり、
玉石混交な論を展開しているとわかった上で読まれるのがよいだろう。


　領土問題について、
氏のカイロ・ポツダム宣言、
サンフランシスコ講和を主張根拠とする論には同調する。

　漁船についても、
日中漁業協定に基づく、
他国の船の処分は他国に任せ、
自国の船は自国の法で裁く解釈に則って、
04年の中国人尖閣上陸時も小泉政権は2日で強制退去処分とした。
　
　
　そのように問題はあるかもしれないが、
触れないでおこうとの姿勢を両国が解決できないのならば取り続けるべきだったが、
前原氏や石原氏が火をつけた。
　

　巻末の対談は氏の論を補足する意味でも読み応えがあったが、
アイヌの視点の欠落と、
日本が中国と、
韓国にあるような大陸棚協定を結んだとしても、
その資源を技術者が高齢化し、
技術継承ができていない日本がどう掘削するのかについて言及されていなかった点は、
机上の論が否めない。


　一旦問題化すれば、
領土を取り合うか、
折半しか策はない。
　
　ドイツのように全てを渡し、
米に反して、
東アジア経済圏を構築する覚悟は、
日本にはない。
　
　中国は話せない国だと日本の世論は言うが、
4000ｋｍにも及ぶロシアとの国境問題は、
以前双方に死者を出したにもかかわらず、
解決済みだ。
　　諍いを続けさせてこそ米の当初の狙い通りとなるが、
それが続けば切られるのは消費国として魅力のない日本の側だと日本人はもっと認識せねばならない。


　偏った情報を流し続けているメディアの責任もある。

　これは、
雑誌が売れなくなって、
銭と手間のかかる調査報道ができなくなっているのが原因だ。

　ネットから情報を引き、
反アジアで記事をコピペすれば、
一定部数は売れるのだが、
そんな仕事をして書き手としてのプライドがあるのだろうか？