強烈な世界解釈

半分怖いもの見たさで読みましたが、
想像以上の怖い世界でした。
両者の討論は全くタブーなしでここにきてあらわにされてきた日本の隠されていた領域に遠慮なしに踏み込んでいきます。
そして明らかにされていく驚くべき構図。
幾つかの注目すべきフレーズを取り出すだけでその破壊力が想像できるほどです。
「日本のデモクラシーの最後の砦は、
今上天皇とアメリカのオバマ大統領」、
「対米利権従属共同体」、
「ワシントンの御心とアメリカの意思の輔弼」、
「アメリカ幕府」、
「三浦和義事件は日本男性による日本女性への復讐」、
「沖縄独立」、
どれをとっても読者の世界観を根本から叩き壊してくれる破壊力満載です。
そして、
今はもう忘れ去られた「東アジア反日武装戦線」への繰り返される言及。
これはいったいどういうわけでしょう？
この中でも第一次大戦後を契機とした戦争観とそこでのルールの変更の部分は鋭い指摘です。
いい悪いではなく、
戦争が非合法化された第一次大戦後に、
世界の変化に気が付かずに、
戦争を始めた日本は永遠に「戦争責任」から免罪されないというわけです。
もはやそこには歴史の再解釈への余地は残されていないのです。

両者、
特に笠井氏が夢想するのは、
主権国家亡き後の、
世界国家なしの世界社会です。
そして指摘されるのは市場にダイレクトにアクセスできる独立生産者としての自立です。
もはやここには「政治」という可能性の技術に残された余地はありません。
残されているのは「市場」だけなのです。
となるとこれは、
demanding the impossible の究極のアナーキズムの世界です。