密教系古神道入門書

大神神社など格式ある神社の祭司を歴任した小林美元氏の記した古神道入門書ということだが、
神社神道とは全く異なった側面で書かれている。
小林氏の語りを文章に起こしたということだが、
宇宙観、
自然崇拝と、
古代日本人が生み出したであろう素朴であるが壮大な宗教意識について語られていて、
一歩間違えばオカルト本的にとらえられかねない氏の言葉が、
長年の祭司生活の経験に基づきギリギリの線で神道的宗教観にとどまりつづられている。


密教的要素も感じられるいくつかの作法の紹介や、
巨石信仰のことなど、
この本でしか語られない知識は読むに値するが、
マイクル・ムアコック氏の「神々の指紋」の文章を引用して神道の神秘と結びつけているのはいただけない。
本当に一歩間違えばトンデモ本になってしまうと思うのだが、
小林氏のように道を究めた方ならば、
この世の全ての現象は

宗教的神秘によるものなのだろう。